国際的な人権監視団体は、最新レポートのなかで、中国を世界で最もネットが不自由な国と認定した。それによると、中国当局はネットにおける規制・検閲強化で、人権擁護活動家や少数民族、宗教グループを抑制しているという。
人権NGOフリーダムハウスは15日に「2016年ネットの自由リポート」を発表。調査は、▽1 ネットで情報を得るための障害、▽2 公開される内容の制約、▽3 個人の権利侵害の3要素を図り、点数をつけたもの。対象は65カ国で、北朝鮮は含まれない。今年はシリア、イランやエジプトを差し置き「中国が最もネットの自由を脅かした国」とレポートは指摘した。
中国では、日本で閲覧できるようなドメイン「.com」「.org」の多くのサイト、facebookやtwitterなど世界大手SNS、Googleなどの検索サイト、wikipediaなど百科事典サイト、他ポータルサイトを自由に見られないことは知られている。
今年、中国当局はさらにネットの制約を厳しくした。生中継ビジネスの取り締まり、オンラインゲームの利用規制、映画や本のデータを配布するアップル社のiTuneストアは閉鎖された。また、中国のネットでビジネスする外国企業は、国外プロバイダサービスから、検閲と規制の厳しい中国の家庭用プロバイダへ切り替えるよう要求された。
また全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会は7日、テロや反政府勢力の犯罪を防ぐための「ネット安全法」を採択した。法案はあいまいな文言が多く、当局都合の解釈の余地があり、企業や民主・人権活動団体から反対の声が上がっていた。
フリーダムハウスは、2015年も中国がネット自由度が最悪と位置付けている。その要因として、当局の関与が指摘される大規模サイバー攻撃方法「巨砲(Great Cannon)」、実名登録制、チャットアプリ「微信」の厳しい利用規制、天津での化学工場爆発事件でのネットユーザを取り締まったことを挙げた。
浙江省烏鎮では、中国政府主催の「第3回世界インターネット大会」が16日に開催され、習近平主席はビデオを通じて、ネット規制や管理強化は「中国のインターネット主権」と、その正当性を説いた。大会には、アリババグループの馬雲会長はじめ、騰訊(Tencent)、百度(Baidu)、レノボグループの各社CEOなど、中国ネット・IT企業のトップが出席した。
(翻訳編集・佐渡 道世)
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