国際 科学が実証 植物の能力

おとぎ話なんかじゃない「木は人間のように話し合う」=加UBC大教授

2016/08/13
更新: 2016/08/13

もし、木が互いに話す、情報を交換する、コミュニケーションをとることができると言われたら、あなたは信じられますか? 子供たちが読むおとぎ話の中のことで、現実にはありえないと思うかもしれません。最近、この「おとぎ話」は事実だということが、科学で証明されました。

カナダ・ブリティッシュコロンビア大学(UBC)森林科学教授のスザンヌ・シマール(Suzanne Simard)氏は少なくとも80回の科学実験を通じて、木は人間のように、仲間とコミュニケーションをとることができることを証明しました。この実験結果はインターネットで大変な話題になりました。

 「木は互いに情報と栄養素を交換する」「母木は自分の子供を認識する」

シマール教授は6月に開催された、講演動画サイト「TED」主催カンファレンスで、「木は互いにどのように話すのか」をテーマに講演しました。

教授は、小さい頃から森に大きな興味を持っていました。実際に、森の中で木たちが仲間とコミュニケーションしているかどうか、25年前からカナダの森で実験を繰り返しました。

実験は次のように行われました。▽実験対象のカバノキ、モミとヒマラヤスギの3種類の木を事前にそれぞれをビニール袋で覆う ▽カバノキに放射線を含む炭素14、モミに対して炭素13を注入 ▽一定の時間経過して、根部が互いに繋がっているカバノキとモミから放射線を測定

結果、カバノキとモミは根部を通じて、それぞれの炭素を交換していました。しかし、根部がカバノキとモミと繋がっていないヒマラヤスギからは放射線は測定できませんでした。

教授はハイテクの測定機械を使い、木は炭素のほかに窒素、リン、水、また防衛シグナル、アレル(対立遺伝子)物質とホルモンを交換し分け合うことも確認しました。

(pixabay)
 

 離れていても、地下でつながっている

教授の話によると、地上からみると木はそれぞれ1本ずつ独立しているように見えますが、実は人間が見えない土の下で、木は四方八方に延びる根部と広い範囲に及ぶ菌の糸を通じて「共生ネットワーク」を築いているそうです。このネットワークで、種類の同じ木、種類の違う木、それぞれ種類の違う植物の間で、頻繁に情報や栄養素が交換されて、そのネットワークに中枢的な役割を果たす「母木」がたくさんあるといいます。

「母木」は自分の子供を認識します。自分の子供の木により多くの栄養素を送り、子供の木の成長のためにスペースを空けることもします。「母木」が枯れて死ぬ前に、次世代の苗木に多くの智慧のメッセージを送ることも分かりました。

 ネットユーザー「まるで映画『アバター』だ」

シマール教授の講演は生き生きとしていて、海外インターネット上ではネットユーザーから多くの称賛のコメントが寄せられました。「子供の時、木は話すと思ったよ。ただ人間がわからない言葉でね」「映画『アバター』の中に木が根部を通じて交流するシーンがあった。これは本当の話みたいね」。

一部のユーザーは「木と木の間のコミュニケーションはどれぐらい遠くまで可能なの?」「栄養素や防衛シグナルのほかに、より高次元でより複雑な交流を行う可能性はありますか」と、教授に難しい質問をした。

植物感情実験の一人者バクスター氏

植物感情研究、50年前にすでにあった

植物間のコミュニケーションを初めて発見した人は過去にいます。2013年に亡くなった、「嘘発見機」第一人者で、「植物は思考する」を主張する米国のクリーヴ・バクスター氏です。植物感情の研究は50年前に行われていました。

バクスター氏は1966年ごろ、「嘘発見器」を通じて植物に「恐怖」や「喜び」などの感情があることを発見しました。68年に、バクスター氏はその実験現象や結果をまとめた論文を米国「国際超心理学雑誌」などで発表した。「バクスター効果」として知られ、各国の科学界などから反響をよんだ。

シマール教授の講演で、植物にも智慧と命があることを再認識させられます。植物の命を奪う行為はある意味では、人の命を奪うのと同じくらい深刻なことであろう。近年よく発生する異常気象や洪水や干ばつなどの災害はその代償かもしれません。

(翻訳編集・張哲)