遷都論が再浮上した河南省。画像は信陽市(yakobusan Jakob Montrasio 孟亚柯/Frickr)
【大紀元日本2月12日】環境汚染、交通渋滞、人口増加、砂嵐、水不足。「都市病」は枚挙にいとまがない中国の首都・北京。深刻な大気汚染に見舞われる今、遷都案が再び高まっている。河南省信陽市農村総合改革研究センターは最近、「政府は3年後に同市へ遷都すると決定した」との文章を同センター公式ホームページで伝えており、首都誘致に躍起している。
「信陽への遷都事業はすでに始まったか」と題する同文章によると、昨年7月、国家発展改革委員会と国家都市計画局、国家環境保護局など20部門からの160人の調査チームが28回の調査を経て首都を北京から信陽市に遷都すると決定したとという。
信陽市は同省中部に位置し、人口80万人。名の知られていない同市に白羽の矢が立ったのは経済学者の沈晗耀氏らのある論文がきっかけだった。同氏ら「遷都:中国の発展を牽引する戦略転換」との論文で北京の都市病を治療するために「東西南北をつなぐ中部地方に位置する」信陽市への首都移転を提案した。
昨年出版された『中国遷都論』(湯愛民著)も首都が西と南のほうへ移転する必要性を訴えた。
遷都論は今に始まったものではない。2000年、朱鎔基前首相が河北省を視察した際に、砂漠化を制御できなければ早晩、遷都せざるを得ないと発言したという。
昨年3月、人民日報傘下の人民網は、北京市は過度的開発で環境が破壊され専門家は首都の遷都が必須不可欠と指摘すると報道した。また、同月開催した全人代では、479名の代表が連名で遷都の法案を大会に提出した。
河南省トップの徐光春党委書記は「中部に位置する信陽市に首都移転すれば、全国を管理しやすくなる」とその利点を強調し、「5~10年の時間をかけて実現させたい」と意気込んでいる。
一方、遷都はそう簡単に実現されるものではない。現行憲法では中国の首都を北京と規定しているため、遷都には改憲が必要だ。
遷都に反対する声もある。新浪ミニブログで「遷都は無責任な考えだ。50年代のロンドンも大気汚染が深刻だったが、政府の環境対策が功を奏し、環境問題は改善された」と移転より環境対策に本腰を入れるべきとの書き込みがあった。
遷都は、必須不可欠となるようであるが、理念を是正しないかぎり、新首都となる信陽市が第二の北京にならないとは、言い切れないのだろう。
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