妻の殺人容疑はまだ序幕か 専門家、薄煕来「反逆罪」の可能性を指摘

2012/04/12
更新: 2012/04/12

【大紀元日本4月12日】事件はドラマさながらの展開を見せている。1カ月前の全人代会期中に行われた記者会見で、薄煕来氏が「基本的に家にいて、私のために家事をこなしている」と擁護していた妻の谷開来氏が、1カ月後、殺人容疑で司法機関に送致された。

谷開来氏の移送について、新華社は10日、薄煕来氏の全職解任報道の直後に報じた。報道は、谷開来氏を「薄谷開来(薄煕来同志の妻)」と強調。「谷」という本来の苗字の前に夫の「薄」を付け足したことは、谷氏は既に香港か他国籍になっているという意味であり、谷開来氏に掛けられた容疑は薄煕来氏にも関係していることを示唆している、と米在住の経済学者・何清漣氏は指摘した。

新華社は解任する薄煕来氏についての他の報道で、「厳重な紀律違反」を起こしたという曖昧な表現を使い、違反の内容には触れていない。一方、新華社の報道に続き、翌11日の人民日報の社説では、英国実業家のニール・ヘイウッド氏の死亡事件は「党と国家の指導者の親族とその従業員が関与した重大な刑事事件」であり、薄煕来の行為は「党の紀律を厳重に違反した」と両者を並べたと同時に、「王立軍事件は国内外に悪質な影響を与えた重大な政治事件だ」と位置づけた。

人民日報のこの社説は、薄氏が刑事犯罪に関与した可能性のみならず、「重大な政治事件」の責任も問われる可能性があると暗に示すものであると中国問題専門家の石臧山氏は分析する。

7日付の香港有力英字紙、サウスチャイナ・モーニング・ポスト(南華早報)は、胡錦濤主席が高層幹部の内部会議で、王立軍氏を「党と国家の裏切り者」とし、彼の行為は「国家への反逆」と厳しく非難したと報じている。薄氏に責任があるとなれば、今後、薄氏はクーデター画策の罪に問われる可能性があり、「党・国家転覆集団」の一員として処分されかねないと石氏は指摘した。

つまり、新華社の報道が薄氏の「刑事犯罪」の可能性をほのめかしているのに対し、共産党の機関紙である人民日報はさらに「反逆罪」の可能性まで用意したということだ。

「今後はさらなる大きな動きがある」。石臧山氏はそう断言する。胡主席が各方面の利権バランスを取るには、次の動きまである程度の時間を要するが、「今回の刑事犯罪説は次なる嵐の予兆に過ぎない」という。その「嵐」とは、薄氏の反逆罪を追及し、さらに彼のバックにいる最高指導部の周永康氏など、江沢民派の核心までメスが入ることだと石氏は分析した。

今回の事件を1971年に起きたクーデター未遂事件・林彪事件と比べる専門家もいる。大紀元コラムニストの章天亮氏は、薄煕来氏の処分への当局の段取りはすでに同案件を反逆罪として扱っていることを裏付けたと指摘した。

新華社の10日夜の報道に先駆け、薄氏の処分についての中央からの伝達は同日午後すでに各地方の党委員会に伝わったという。また、公表1時間前の夜10時には学生の集会を抑制するためか、各地の大学で共産党員による緊急会議が開かれた。こういった動きから、「刑事事件として同事件を片付ける可能性はすでにない」という。事件のクライマックスはまだこれからで、薄氏の反逆罪がいったん成立すれば、彼と手を組んで政権奪取を目論んだとされる周永康らも一掃されると章氏は見ている。

 (翻訳編集・張凛音)