【大紀元日本1月31日】最近、中国民間企業がニュージーランドの酪農農場16か所を購入。現地の農場主が強く反発している。VOAが伝えた。
ニュージーランド政府は27日、クラファー・ファームズに属する16か所の酪農農場を1.64億米ドルで上海鵬欣集団傘下の企業に売却する計画を承認した。昨年、アイスランドで中国投資家による土地購入が拒否されていることもあり、今回の購入はメディアが注目している。
資源を売る
鵬欣集団が民間企業であっても、現地の牧畜業主らは今回の政府の決定に対し不安の色を隠せない。これらの農場の競争入札に参加したニュージーランド・グループ代表者のマイケル・フェイ氏は、政府がニュージーランドの宝である自然資源を中国政府に売り渡す行為であり、同グループはすでに法廷に対し政府の決定について再審を求めていると述べた。
フェイ氏は「完全に政治取引であり、ニュージーランド政府は国有ランドコープ社を通じ中国企業への土地貸出人となった。一方、中国企業は中国政府の支持を受けているため、実質上、中国政府がこの土地の主人となったことになる」と現地メディアを通して批判した。
ニュージーランド労働党のデイビッド・シアラー氏は、土地売却で明るい未来を手にすることはできず、政府の決定はニュージーランドの損失につながるだけだと指摘する。「最終的にニュージーランド人には仕事がもたらされず、農業収入が海外に流出することを意味している」
これらの意見に対し、土地情報局(LINZ)のモーリス・ウィリアムソン氏は、鵬欣集団の入札は海外投資オフィスが定めた基準に符合していると説明した。同様にこれらの農場購入を希望した香港の天然乳業公司は政府の要求を満たしていないため購入が拒否されている。「規定に符合しさえすれば政府が拒絶する理由はない」とニュージーランドのジョン・キー首相は、選定はあくまでも規定に沿っていることを強調した。
絡む中国の要因
今回売却の対象となったクラファー・ファームズはかつて同国2位の家庭酪農農場で、800ヘクタールの土地に2万頭の乳牛を放牧している。09年に農場は破産保護を申請。政府は積極的に買い手を探していたため、鵬欣集団がつけた高値が落札の直接的な要因であるという。
近年、ニュージーランド政府は土地販売の足並みを加速しており、中国が唯一の買い手ではない。同国で農業を専門とする記者、リチャード・レニー氏は、政府はここ2年間、合わせて36万ヘクタールの土地を売却しており、クラファー・ファームズの販売規模をはるかに超えていると指摘。それでも今回の鵬欣集団による農場購入に反対の声が上がったのは、現地の人々が中国を憂慮しているためだとレニー氏は考える。
「イタリア人、ドイツ人、さらにはイギリス人、アメリカ人が買った土地は数万ヘクタールに達しているのに、我々は何の不満も耳にしたことはない」
一方、鵬欣集団の説明によると、メラミンによる乳製品汚染事件の発覚後、中国の国内消費者の国産乳製品に対する信用は皆無となった。同社の投資目的は中国国内の中産階級に対する高品質の乳製品に対する需要を満たすことにあり、将来、農場の経営はランドコープ社に委託すると表明している。