NZモスク襲撃のテロ犯、共産党政権の中国を支持

2019/03/20
更新: 2019/03/20

15日にニュージーランド南島中部クライストチャーチの銃乱射テロ事件を起こした、オーストラリア人のブレントン・タラント容疑者(28)は、共産党政権の中国を、最も思想価値の近い国として支持していることが分かった。

逮捕されたブレントン・タラント(Brenton Tarrant)容疑者はテロ攻撃直前、73ページに及ぶ自身の考えを書き連ねた「マニフェスト」を発表した。このなかで容疑者は自身を社会主義者、ナチストであるとし、政治的・社会的な価値の最も近い国は共産党政権の中国だと書いた。

タラント容疑者は、「百万人のイスラム教徒を消滅させた」として、中国共産党政権の新疆ウイグル自治区における強制収容所を肯定した。このほかに、保守主義は「偽装された協調性」であり、支持しないとしている。

カナダのメディア・ライフサイトニュースによれば、容疑者は発表文書のなかで、限りある地球環境の保護のために人口増加を制御する必要があると主張している。また、タラント容疑者は人種や民族、国籍で攻撃対象を考えておらず、ただ「侵略者である移民」除去を目的としていたという。このため、タラント容疑者は、ほかの多数の媒体が伝える「白人至上主義」「極右」などには当てはまらないのではないか、と同メディアは指摘する。

タラント容疑者は、イデオロギー的に支持する人物にドイツ人生物学者のパウル・エールリヒ(Paul Ehrlich、故人)氏、米下院議員で社会民主主義者のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(Alexandria Ocasio-Cortez,AOC)氏、米科学者ジョン・ホールデン(John Holdren)氏の名前を挙げた。

エールリヒ氏は、人口増加による地球の荒廃を提唱したことで知られる。AOC氏は、地球温暖化への対応は人類の最重要課題だと強調している。米オバマ政権時代の科学顧問(科学技術担当)だったジョン・ホールデン氏は自書のなかで、後期中絶を支持し、出産許可制を政策として検討したという。

タラント容疑者は「ごく平凡な低所得階級の生まれ、これといった問題を起こしたことはなく、非常に内向的」「自然発生的なエコファシスト」だと自分の性格や思想を説明している。

中国官製・環球時報英字版の胡錫進編集長はSNSで、17日にオランダで起きたテロ攻撃と、15日のニュージーランドでのテロ事件を引き合いにして、「過激派思想の矯正施設」である新疆ウイグル自治区での収容の正当性を強調した。

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相は、「恐ろしいテロ行為からより地域の安全のための改革を行う」として、銃規制法案が内閣で原則合意したと発表した。モスク襲撃事件では50人が死亡し、多数が負傷した。国内外で事件の犠牲者を弔う追悼集会が開かれている。

(編集・佐渡道世)

関連特集: