行方不明の人権弁護士に追加懲役 米国・欧州連合、釈放求める

2011/12/27
更新: 2011/12/27

【大紀元日本12月27日】中国当局は、刑期の執行猶予期間終了の直前にしていた人権派弁護士・高智晟氏に更なる3年間の禁固刑を下した。米国や欧州連合、国際人権団体は中国当局の対応を非難し、同氏の釈放を求めている。

今年47歳の高智晟弁護士は、社会的弱者から無料で弁護を引き受け、正義を追求することで中国全土に知られていた。中国当局に弾圧されている法輪功について、2005年から3回にわたり最高指導部に公開嘆願書を提出し、弾圧の違法性と残虐性を訴え、停止を求めた。それに対し中国当局は、同弁護士の法律事務所を強制閉鎖し、2006年12月22日には「国家政権転覆扇動罪」で高智晟弁護士に有期懲役3年、執行猶予5年の判決を下した。

執行猶予期間中、高氏の家族は当局の監視下に置かれていた。 

高氏は、2007年に警察当局に強制連行されて行方不明になり、後に釈放された。そして2009年2月、帰省先の陝西省の実家で警察に強制連行されて再び行方不明になり、2010年3月、北京で一時的に姿を見せてから4月にまた行方不明となり、現在に至っている。度重なる行方不明の期間中に、家族や友人は当局に繰り返し問い合わせたが、いかなる回答も得られていない。

最後の行方不明の直前、同氏はAP通信の取材で、獄中で受けた様々なリンチと拷問の実態を明かした。

執行猶予期間が終了する5日前にあたる12月16日、中国国営通信社・新華社は執行猶予を取消し、3年間の禁固刑を執行すると報道した。

2年前に、東南アジア経由で米国に脱出し、米国政府に難民として保護されている同氏の妻・耿和さんは、BBCの取材に対して、同氏はずっと中国当局に監禁され自由が束縛されているのに、執行猶予の規定を違反したため禁固刑を執行するという当局の説明は成立しないと非難した。 

 釈放求める米国政府・欧州連合

米国国務省の報道官は本件について、米国政府は中国当局のこの決定に非常に失望していると述べ、同氏の境遇に関心を示し、早急の釈放を求めた。

欧州連合の外交安全保障上級代表(外相に相当)アシュトン氏は声明文を発表。中国政府に対して、高智晟氏の健康状況と所在を公表し、早急に釈放するよう要求した。

欧州連合の報道官は、同氏が再び監禁されることについて、欧州連合が「非常に憂慮している」と述べ、アシュトン上級代表はすでに中国最高指導者に電話を入れ、高智晟氏に関する情報の公開や、家族と弁護士との面会などを要求したことを明らかにした。

 国際人権団体「中国当局は法律を翻弄」

アムネステイ・インターナショナルの幹部キャサリン・バーブル氏は、「20カ月間も行方不明になった後、再び監禁されるなんて、実にショッキングな情報だ」と述べ、中国当局の対応は「完全に非法である」「法律を翻弄している」と非難した。

バーブル氏は国際社会に対して、中国当局に引き続き圧力をかけ、高智晟氏の釈放を求めるよう呼びかけた。

新華社の報道が高智晟氏の健康状況にまったく触れてないことについて、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチの中国問題の専門家は、「中国当局は、完全に政治的な意図で高智晟氏を懲罰している。行方不明の期間中に高氏が受けた虐待と拷問が、外部に公表されることを阻止するためであろう」と指摘した。

一方、中国国内では、高智晟氏はすでに獄中で死亡したと推測する者もいる。中国当局は国際社会からの圧力を避けるため、刑の執行という形で死亡事実を隠そうとしているのではないか、とこれらの推測者は見解している。

 (翻訳編集・叶子)