金正日・総書記の死去、韓国は緊急警戒態勢宣言

2011/12/20
更新: 2011/12/20

【大紀元日本12月20日】北朝鮮の国営テレビは現地時間19日、最高権力者の金正日・総書記が17日に死亡したと報道した。69歳だった。それを受け、日本や韓国などの関連諸国は対応を急いでいる。特に韓国軍は緊急警戒態勢を宣言するなど特別な措置をとった。

同北朝鮮報道によると、金正日・総書記は過労のため、17日午前8時30分頃、公務に向かう列車の中で急性心筋梗塞を発作を起こし、死亡した。翌日、さらに病理解剖検査した結果、その死因が確定したという。

金正日・総書記は94年、父親の金日成主席が死去した後、最高権力者の地位に就き、政権をずっと握ってきた。

近年、その健康不安定説は絶えなかった。2008年には脳卒中で倒れたとみられ、2009年にもあまり公に姿を見せず、ガンを患ったとの情報もあった。2010年9月の最高指導部会議では、その20代の三男・金正恩(キムジョンウン)氏を後継者に指定したとみられ、自分の職権の一部を正恩氏に移行した。

しかし、北朝鮮メディアの最近の報道では、同総書記がロシアや、中国を訪問したり、全国各地を視察するなどメディアにも姿を見せていたため、健康不安定説は徐々に薄れていった。

CNNによると、米軍部の複数の高官の間では、正恩氏への政権交代の歩調は緩やかになるとの見解もあった。

金正日・総書記の死去の第一報を受け、野田佳彦首相は19日昼、東京新橋での街頭演説の予定を中止して官邸に戻り、北朝鮮の今後の動向に関する情報収集態勢の強化や、米韓中などの関連諸国との緊密な情報共有、不測の事態への万全な対応などの指示を出した。

聨合ニュースなどの韓国メディアの報道によると、韓国の李明博・大統領は急遽同日開催の誕生日パーティーを中止し、これからの対策を講じるため緊急安保会議を召集した。

この会議の席で、李明博総統はオバマ大統領と議論を交わしたと伝えられている。

韓国軍部の公表では、北朝鮮と対峙している国境地帯では、偵察機の数量を増やすなどの対策で、北朝鮮への監視を強化している。現時点において、北朝鮮軍には異変がみられていないという。

一方、韓国行政安全部や、警察庁はそれぞれ緊急通達を出して、全国の公務員は休暇なしの緊急時当直状態に入り、警察指揮官は現場待機を命じられている。

ロイター通信によると、ホワイトハウスは、日本や韓国と緻密な連絡を取り合い、朝鮮半島の安定への尽力を約束するとの声明を発表した。

金氏死亡の情報が伝えられてから、北東アジア情勢の不安説が強まるためか、各国の株式市場は軒並み下落して取引を終えた。

中国政府も反応を示した。

中国外交部の馬朝旭・報道官は、「中朝双方はこれから共に努力して、両党、両国、両国民の盟友関係をより強くし発展させて行き、そして朝鮮半島と本地区の平和と安定に積極的に貢献する」などと述べた。

中国最高指導部が北朝鮮政府宛ての弔電では、中朝両国は共存共栄の利害関係を持っていると強調、両国の伝統的な友好協力関係は「中国党と政府の一貫の方針であり」「中国人民は永遠に朝鮮人民と同じ立場に立つ」と記されている。

 (記者・畢儒宗、翻訳編集・叶子)