【大紀元日本9月27日】アメリカ国務省はこのたび、2010年後期までの世界各国の信仰の自由に関する報告書を発表した。クリントン国務長官は特に中国を含む8カ国の状況について懸念を示した。この報告書の中で米政府は、「中国政府は信仰の自由に対して行われている酷い暴力的行為について容認しているか、あるいは関与している」と指摘した。
この報告書は2010年7月1日から同年12月31日までの6カ月、世界198カ国・地域における「宗教の自由」の状況をまとめたものだ。報告書が指摘する8カ国とは、アジア圏で中国、ミャンマー、北朝鮮、ウズベキスタン、中東アフリカでサウジアラビア、スーダン、エリトリア。これらの国は、信仰の自由が何らかの組織力でもって侵害されているという。
人権と労働問題を担当するポスナー国務次官補は13日の記者会見で、中国の「宗教の自由」の状況について、「中国政府からの尊重は全体的に下がり、より悪化した」と述べた。報告書は、憲法上では信仰の自由を保障しているが、実際には他の法律や政策などで自由は抑制されていると、この矛盾を指摘している。
中国では、政府が認可した5つの「愛国的な宗教団体」だけが、宗教活動を行うことが認められる。例えばキリスト教でも、愛国的な要素のないプロテスタント、ローマ教皇を精神的指導者とするカトリックは、宗教団体として登録が許諾されていない。
気功修煉を学ぶ法輪功学習者への死に至らしめる拷問と迫害も、中国では現在も続いている。法輪功迫害の事例を伝える独立報道機関・明慧ネットでは毎日、その残酷さが伝えられている。金銭恐喝、家財没収、勤め先の不当解雇のほか、労働教養所での危険薬物の注射、睡眠・排泄禁止、殴る蹴るなどの酷い拷問によって学習者が死亡するなど、数千の事例が報告されている。
吉林省通化市在住の法輪功修煉者・孫顕明さん(59)は、2001年11月に法輪功迫害情報を広めたという理由で強制連行され、労働教養所に収容された。その間、孫さんは腕が折れるまで滅多打ちにされ、曲がった腕が逆向きに固定されるなどの拷問を受けた。複数本のスタンガンで電気ショックを与えられるなどの幾多の拷問を受けた孫さんは、70キロ以上あった体重が30キロになり、釈放後は重い肺結核を患い、今年4月末、死亡した。
拷問経験者の証言に基づいた、労働教養所での暴行の実演(明慧ネットより)
今月初めに英グラスゴーで開かれた特定医師会の国際会議では、中国国内で不当逮捕された約6万5000人の法輪功学習者が、闇の商売である臓器ビジネスの犠牲になったとの調査報告書が発表された。
キリスト教徒と法輪功学習者への迫害問題に立ち向かった人権弁護士・高智晟氏の消息は、いまだに分かっていない。高氏へはこれまで何度も逮捕・釈放が繰り返されており、今年4月に米ニューヨーク・タイムズ紙に掲載された妻・耿和さんの寄稿文によると、2007年と2009年には、イスに何時間も縛り付ける、タバコを押し当てるなどの連日の暴力、「殺すぞ」と脅かされるなどの精神への攻撃も受けていたという。
今回のアメリカ国務省の報告書では、チベット自治区や新疆ウイグル自治区でも弾圧や厳しい活動制限が続いていることも指摘されている。特に、昨年10月まで開催された上海万博の期間中、チベット自治区で特に厳しい弾圧が行われたとして強く批判した。
この報告書について、中国外務省の姜瑜副報道官は14日の定例記者会見で「内政干渉だ」として強い不快感をあらわにした。姜氏はまた、「中国の各民族は宗教の自由を享受している」とし、米国に対して「中米関係の発展に繋がる行動をとるよう求める」と述べた。
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