【大紀元日本8月30日】「ダークホースの野田佳彦氏が民主党代表に当選した」。人民日報ネット版は29日午後こう報じた。民主党代表選に注目した中国政府系メディアに広がる意外感を窺わせ、「期待できない 中国に対する立場が強硬」との見出しの評論も立て続けに掲載した。
代表選前の中国メディアは、代表選は海江田氏と前原氏との戦いになると見込んでいた。当日の環球時報(人民日報傘下)は「日本首相選挙 5人混戦」との見出しで5人の力関係を分析した。その中で「5人の候補の中で、前原氏と海江田氏がもっとも有望」だとし、2人の中国に対する立場の相違を詳しく分析した。
海江田氏は、名前の「万里」が「万里の長城」から名付けられたことや、中国語が堪能なことなど、具体的なエピソードを交えながら好意的に報道した。それに対し、前原氏は「親韓派」として紹介し、ロシアメディアを引用した形で、「タカ派」の前原氏は、中国のみならず、ロシアにとっても「厄介」な相手で、「もっとも歓迎されない人選だ」と酷評した。
一方の野田氏に対してはほとんどノーマーク。5人の外交姿勢を比較する中で、野田氏の「尖閣諸島問題で日本は厳重に警戒する必要がある」との発言を取り上げ、「対中強硬派」として紹介するに止まっていた。
そうした中、野田氏の代表当選に各メディアが「ダークホース」との言葉で驚きを表した。「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」とした主張を改めて紹介し、「靖国神社の参拝を続けている」などと警戒感をにじませた報道が飛び交った。中国新聞社(中新社)は「軍事一家の出身で強硬派」「尖閣諸島問題で強硬姿勢」「集団的自衛権の行使を主張 タカ派」との見出しで野田氏を紹介。
人民日報も野田氏の当選が決まった直後に、「期待されていない 中国に対する立場が強硬」との厳しい見方を示した。記事は日本国内と民主党内の情勢を取り上げ、野田内閣は「期待されていない」と評した。さらに、対中強硬の姿勢を伝えた上、「野田氏は政治においてこれまで、主に内政問題に対応してきており、外交上では注目すべき所はまだない」と外交経験の欠如にも言及し懸念を示した。
一方、ネットユーザーは冷めた見方が大半を占めている。「対中強硬だと、期待されないのか?おかしな言い方だ」(黒竜江省ユーザー)、「候補に対中強硬でないのは何人いる?」(遼寧省ユーザー)、「自国の国民をいじめなければ、いい首相だ」(西安市ユーザー)と、政府の意見を揶揄する書き込みが目立った。
また、「(そんなに批判しても)日本の盟友は世界中にいる。中国の盟友は?」と温州市のユーザーが書き込んだら、深セン市のユーザーが「アフリカには数十カ国いるよ」と返した。ある広東省のユーザーは「日本の首相が毎年変わるのは、日本が不安定、不団結、不和諧の社会だということの表れだ」と、多くの問題を抱えながら「安定・団結・和諧」と謳っている中国社会を皮肉り、別の広東省のユーザーは「国のリーダーは国民のために働かないとポストを失うのが、真の民主制度だ」と書き込む。
「強硬だ、強硬だと、またメディアの誘導だ」と冷静に見ているユーザーも多く、政府の否定的な姿勢と一線を画す議論がインターネット上で繰り広げられている。
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