【大紀元日本8月20日】北京市の郊外では最近、24の私立小学校の建物が強制収用され、閉鎖された。9月の新学期が始まる前に下った突然の決定に、1万4千人の小学生が、通う学校を失った。閉鎖された学校に通っていた小学生たちは、地方から都市へ出稼ぎに来た「農民工」の子供であるため、保護者らは「子供たちまで差別されるのか」と怒りが収まらない。
北京市教育委員会は、建物の借用権の契約期限切れ、老朽化した校舎は消防安全法に符合しない、食堂の衛生が不合格、などを理由に、北京市海淀区、朝陽区、大興区にある24の私立小学校を6月から順次閉鎖させた。しかし専門家は、市局と不動産開拓業者が、時価が上がり続けている北京郊外の土地をより利潤を追求する形に整備するために、教育施設を強引に一掃させた、と見ている。
北京郊外には、農民工の家族が住む村が点在する。農民工の多くは、劣悪な労働環境で働きながらわずかな給料で生活している。しかし今回の小学校閉鎖に
学校閉鎖に抗議する親たち(愛栄成ネットよりスクリーンショット)
、「子供の教育を受ける権利を奪った」と、保護者らは激しく憤っており、学校前で授業再開を叫んだりしている。ある小学生の父親は、学校近くの道路に横たわり、「私たちは北京の発展に貢献を捧げたのに!(裏切られた)」と叫びながら抗議した。
北京では、子供を公立小学校に入学させるために、親は5つの証明(就職証明、住民証明など)を揃えて学校側に提出しなければならない。しかし、農民工の出稼ぎ労働は正規雇用と見なされないため、就職証明が発行されないなど、農民工の子供が公立小学校へ入学するのは極めて難しいのが現状である。「教育を受ける権利は皆平等とのスローガンを掲げる政府。しかし今の法規では、農民工を北京から追い払っているのと同じだ」とネットユーザー・葉さんは微博(マイクロブログ)で指摘した。
人権保護グループ「中国労働通信」のジェフリー・クローサルは、今回の北京の学校閉鎖は、土地価格が上がり続けている北京郊外の土地を整備するために、不動産開拓業者の利益を優先した画策だとの見方を示す。「当局は、移動を余儀なくされた小学生たちのあらたな教育施設を確保するとしているが、農民工の子供たちに、故意に学校に入れさせないような条件を設定している」と、ロイターの取材に対してメールで回答した。
一方で、教育現場への支援を目的に設立されたNGO団体「青少年基金会」(北京本部)が、当局の支援を受けて、アフリカへの教育支援に15億元を集める計画を立てていることが国内メディアで報じられており、ネットユーザーの間では「中国の教育現場が破壊されているのに、海外教育環境の支援がされている」と、権益者たちへの不満の声が広がっている。
中国国営新華社通信などによると、青年基金会は、アフリカの教育環境整備を目的とする「中国アフリカ希望工程」を設立して、今後10年間で15億元(約180億円)を集め、アフリカ地域で1000もの小学校を建設するという計画を発表した。現在、すでに3300万元(3億9600万円)をアフリカの関連団体に寄付したという。
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