中国での臓器収奪 英国人ジャーナリストが証拠開示

2011/07/21
更新: 2011/07/21

【大紀元日本7月21日】英国議会で12日午後、中国での臓器収奪に関するシンポジウムが開かれた。中国問題に詳しいジャーナリストのイーサン・ガットマン氏が、中国の監禁施設でウイグル人、政治犯、法輪功学習者、チベット人などに対する臓器の強制摘出が行われているという調査結果を示し、一部の証拠を概略紹介した。

ガットマン氏は民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies)の研究員や、ウォール・ストリート・ジャーナル・アジア紙などの複数のメディアの執筆者を務めており、中国における長年のビジネス経験などをまとめた著書『新中国を失う』などを執筆する中国問題の専門家だ。

同氏によると、中国での臓器収奪に関する調査を数年間かけて行ったところ、多くの証拠を収集できたという。今回のシンポジウムではその一部を取り上げた。

90年代にすでに臓器収奪が始まっている

新疆ウイグル自治区の元特別警官の証言として、17年前の1994年から、新疆ウイグル自治区ですでに死刑囚や政治犯に対する臓器摘出が行われていた、とガットマン氏は指摘する。「特定のいくつかの車の中から恐ろしい悲鳴が聞こえるという噂が広がっていた」と同警官が証言し、そして1996年には、警官はある軍医から、「囚人の臓器は車中で摘出していた」との証言を聞いたという。

もう一人の証人は英国在住のウイグル人、エンバ・トッティさん。1995年新疆で外科医を務めていた彼は当時、実際に死刑囚から肝臓、腎臓を摘出する手術に参加したという。犯人が1、2時間以内に死亡しないように死刑が執行され、その間に臓器摘出が行われるという。

ガットマン氏は政治犯に対する臓器収奪の証拠も取り上げた。被害者は1997年2月に発生したウイグル人の大規模抗議活動の参加者であり、現地の軍の病院の看護婦が明らかにした。

この抗議活動で逮捕され、獄中で死亡した一人の若者は、その臓器が何者かによって収奪され、ほとんどなくなっていたという。当局は警察に遺体を強制的に土葬するよう命じ、さらに事実を追究する遺族が接近しないよう墓地周辺に兵士を配置した(注・ウイグル人は死後、土葬する)。また、抗議活動に参加した別の若者の2つの腎臓も摘出されて移植用に使われたという。

「ある若い医師は1997年から98年の間、ウルムチ市の政治犯刑務所で採血検査を行っていた。高官5人の移植用の臓器を手配するためだった。半年後、この医師は再び同様の命令を受けた。臓器移植待ちの別の高官がいたからだ。こうしたことが何度も繰り返されていた」とガットマン氏は述べ、チベットでもこの種の臓器収奪を立証する証拠を確認したという。

法輪功学習者に対する大規模な臓器収奪

ガットマン氏は法輪功学習者に対する大規模な臓器収奪についても証言した。

それによると、100人以上の法輪功学習者に聞き取り調査を行った結果、そのうちの約30%が監禁期間中に謎の医学検査を受けたことがある。「ほとんどは通常の健康診断ではなく、高額な臓器移植

「臓器収奪はこの上ない悪行であり、制止するにはまず事実を明らかにしなくてはならない」と語るガットマン氏(大紀元)

のための検査である」と同氏は言う。

同氏は、国連の拷問問題調査官のノッワーク氏の関連報告書のデータを引用して、中国の監禁施設にいる法輪功学習者は延べ45万から100万人と推定し、そのうちの6万4581人の臓器が強制摘出されたとの調査結果を示した。「法輪功は中国での臓器収奪の最大の被害者であろう」と同氏は指摘し、「これは悪行の中の悪行である」と厳しく批判した。

英国在住の中国人法輪功学習者・楊安妮さんはシンポジウムで獄中での実体験を証言した。

2005年、彼女は北京市で逮捕・監禁された。獄中では何度もレントゲンや採血などの様々な医学検査を受けた。「健康診断の目的でないのは明らか」と彼女は言う。「次に摘出されるのは自分ではないか」と恐怖に満ちた時間を過ごしていたという。

また、一緒に監禁されて、後に拷問で死亡した2人の学習者の遺体には、臓器摘出の際に残ったとみられる大きな傷跡があったという。そのうちの1人の夫も、知り合いの法輪功学習者の遺体に多くの傷跡と数カ所の空洞があったことを証言する。

ガットマン氏は、近く出版する新書にその詳しい情報が収められている、と話した。

「もし、欧米先進国が人類のある種の道徳価値を代表しているのであれば、この問題に直視すべきだ。これは集団虐殺であり、一刻も早く制止しなければならない」と同氏は語り、「これは法輪功学習者のためだけではなく、中国国民のためでもある。歴史の流れの中で、本件の真相は必ず明らかになる」と訴えた。

カナダの著名な人権派弁護士デービッド・マタス氏と同国外務省の元高官デービッド・キルガー氏は2006年に、国際人権団体の依頼で調査を始め、52種の証拠に基づいて独立調査報告書『戦慄の臓器狩り』を作成、生きた法輪功学習者を対象とする臓器強制摘出・売買が中国で組織的に行われているという結論を出した。

シンポジウムの司会を務めた英国上院議員のヒルトン卿は、「臓器を収奪するという組織ぐるみの犯罪をただちに止めさせるべきだ。これは議論する余地がないことだ」と述べ、世界各地の法輪功学習者は所在国政府に対し、その関連事実を伝えるべきだと提案し、「国際社会が一致協力して、この地球上で行われている未曾有の組織犯罪を制止するべきだ」と語った。

(記者・徐風、翻訳編集・叶子)
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