【大紀元日本6月29日】「情勢の不安定な地域、特に人権弾圧で悪名高い国でよく中国政府の姿を見かける」―米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、このように報道する。イランやジンバブエ、スーダン、ミャンマー、北朝鮮と、どれも人権弾圧と独裁国家という烙印が押されているが、これらは中国の盟友国である。今、「大国」という名をやっと手に入れた中国が悪き仲間と手を切ろうとしないのは、経済発展に必要不可欠なエネルギーと炭鉱資源を確保するとともに、戦略的な影響力を構築する目的があるため、と同報道は指摘した。
それによると、「多くの欧米先進国が関わりを持ちたくない、あるいは関わりを持てない地域で、経済発展のためにエネルギーと天然資源を中国は探っている」と述べた。
中国がアフリカから輸入する石油は、総石油輸入量の3分の1強に達する。専門家は、「その輸入枠を失うと、中国の経済成長は維持できなくなる」と指摘する。
アフリカにおいて、中国はスーダン及びジンバブエと緊密な関係を持っている。この2カ国は国際制裁の対象国であり、人権問題が深刻である。
中国はスーダン石油の最大の買手であり、原油の3分の1は中国に輸出されている。中国の国営企業はスーダン南部に巨額な投資をしており、石油採掘と道路の建設に積極的に取り組んでいる。また、スーダンのバシル政権にとって、中国政府は最大の武器供給国であると指摘されている。
ジンバブエで30年間独裁者として君臨し続けてきたムガベ大統領と固い盟友関係を結ぶ中国政府は、国連安保理および国連人権委員会で、ムガベ政権を支持し続けている。その見返りとして、ジンバブエは40数種類の炭鉱資源と農地を提供している。現地に派遣された中国人農民はここで耕作し、収穫した食糧を中国に送っている。その一方で、ジンバブエの現地の人々は食糧難に耐えている。
米国シンクタンク「大西洋理事会アフリカセンター」のピーター・ファーム主任は、中国政府は資源のみを狙っているのではないと指摘した。同主任は、「中国政府は国際社会での地位の向上も非常に重要視している。そのため、外交を通じて50数カ国ものアフリカ国家への影響力を築き、さらに国際舞台にも反映させようとしている。また中国にとって有益である、多極化世界の構築にも興味津々である」と分析した。
これらの盟友を持つ中国政府は、度々国際社会に非難され、より柔軟な対応が必要であると気づき始めた。スーダンとイランと盟友関係を保ちながら、ジンバブエに医療隊を派遣したり、スーダン南部で国連平和維持部隊に参加し、国際協力に積極的な姿勢をアピールしている。
また最近、国連安保理で採決したイランに関する制裁決議案について、中国政府はそのほとんどに賛成票を投じた。しかし、肝心の貿易に関する制裁を強化・拡大する措置には反対している。さらに、北朝鮮とミャンマーとの関係について、同記事は「中国政府は同様のやり方を講じている」と指摘する。
ピーターソン国際経済研究所のシニア研究員マルコス・ノラウンド氏は、中国政府は戦略上、北朝鮮を重要なコマと見なしていると指摘、「北朝鮮はパキスタン、イランと、核ミサイルや核開発で連携している。中国政府にとって、これは米国およびインドとの政治的駆け引きで有利な状況を作り、自分の行動を正当化する口実になる」と分析した。
豊富な天然ガスと一定の石油資源を持つミャンマーでは、中国は同国北部で複数のダムを建設しており、中国の南部都市の電力を賄おうとしている。またパイプラインも建設し、石油と天然ガスを輸送している。
米シンクタンク「戦略国際問題研究所」のアーネスト・ポール主任は、「中国政府が北朝鮮とミャンマーに悪役を演じさせ続けることは、同地域における中国政府の地位の低下に繋がる」と指摘、中国政府がこのような行動を続ける限り、アジアとその他の地区において、そのソフト・パワーが評価されない、と述べた。