日本産の輸出規制広がる 中国は「食用を禁止」

2011/03/26
更新: 2011/03/26

【大紀元日本3月26日】福島第一原発の事故による放射性物質の漏えいを受けて、日本の食品への規制が広がっている。米国・台湾・韓国などは原発影響圏とされる近隣4~5県の食品の輸入を停止することを決めており、中国当局は同様の対処に加え、影響圏で採れた「農産物の流通・食用を禁止する」と発表した。

台湾行政院衛生署(衛生省)は25日、福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県からの食品の輸入を25日から全て停止すると発表した。韓国政府も近隣4県の食品の輸入を停止し、禁止は放射能への懸念が解消されるまで続けるという。

中国は、日本政府が農産品から基準を超える放射性物質を検出したと発表したことを受けて、日本から輸入する食品や農産品の安全性を確保するため、この日から、福島、栃木、群馬、茨城、千葉の各県からの乳製品、野菜、果物、水産品などの輸入を禁止する」としている。

米国やEUでも、日本食品の輸入禁止や検閲強化の動きが進んでいる。米食品医薬品局(FDA)は、放射性物質の影響を受けた地域で生産された牛乳、果実、野菜の輸入を停止した。EUは27日から、1都11県産の日本食品・家畜飼料を対象に、放射性物質がEU基準より低いことを明示した証明書の添付を義務付けるなど、検査を強化すると発表している。

揺らぐ東北地方 原発がもたらす混乱

原発事故の影響地域といわれる各地の地元メディアは、原発がもたらした混乱を伝えている。

河北新報は、県産野菜の出荷・摂取制限や水道水の飲用制限を強いられた福島県内の自治体が、ストレスの極限状態にあることを伝えている。各市町村長は、「事故の半分は人災」「農業が続けられなければ村は潰れる」「どんな状態にあるか、東電は南相馬に住んでみればいい」などと、同社インタビューに対して怒りを伝えており、自治体は崩壊の瀬戸際に追い込まれているという。

同紙によると、津波による甚大な被害を受けた宮城県内では、住民の先の見えない不安をあおるように、デマが横行しているという。石巻市では「外国人による強盗殺人・強姦事件が起きている」、仙台市では「物資が略奪」、他の地区でも「雨に当たると確実に被曝」「女川原発も危険」などのデマが流れており、自治体は「根拠のない携帯メールなどの伝聞は信じないでほしい」と呼びかけている。

福島県商工会議所では「政府が風評被害リスクをあおっている」と指摘した。福島民報によると23日、福島商工会議所の瀬谷俊雄会頭は定例会見で、「福島県の牛乳や野菜に異常があった、と報告しながらも、毎日摂取しても人体に影響はほとんどない、と説明するのは何故か」と政府発表を疑問視し、「つくられた風評被害である」と述べたという。

大手スーパー 西へ仕入れルート変更

政府が関東・東北圏の牛乳・野菜などから暫定基準値以上の放射性物質が検出されたと発表し続けているのを受け、大手スーパーなどでは、消費者の生鮮食品の買い控えムードを気遣って、西ルート開拓を進めている。

大手スーパー「西友」広報担当は、「これまで関東周辺の仕入れをして来たが、西日本からのルート開拓を検討している」と述べた。一方で、風評被害をあおるのを避けるために、出荷停止対象外となっている品目などについては過剰な仕入れ停止は行わない方針を決めているスーパーもある。

福島県いわき市にあるスーパー「鮮場」の従業員は、「今後は地産のものの販売が難しくなる見通しで、アメリカなど外国産のものが増えてくる」と述べた。

埼玉・千葉・茨城など農協経営の直売所は、地元の人気は変わらないため売上高に影響ないとしても、「大手スーパーが一方的に契約停止を伝えてきた」など、出荷規制による影響の声も聞かれる。

25日で東日本大震災から2週間経ったことを受け、官邸で会見した菅首相は、農産物からの放射性物質が検出された影響について、「農家や酪農家に大きな損害を与え、心からおわびする。確実な補償、支援に万全を期したい」と強調した。農家支援については、「国や東電の補償に(段階が)至るまでは、関係機関の融資で対応するよう農林水産省に指示している」と述べた。

農林水産省の筒井信隆副大臣らはすでに複数県の市長らと会談し、東電とともに出荷自粛による損失を補償すると伝えている。

(佐渡道世)
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