【大紀元日本3月4日】「ジャスミン革命の波及防止に、シリアは低所得家庭に2.5億ドルを支給。ヨルダンは国民生活向上に5億ドルを拠出。クウェートは40億ドルをかけて物価上昇に対抗。モロッコでは根本的改革を約束。イラクは立法府から高級幹部の給与削減を提案。中国はというと、『解放軍の賃上げ』を対抗策として打ち出したらしい」
2日のラジオ自由アジア(RFA)は、中国のネットユーザーがツイッターに載せたこのつぶやきを引用した。人民解放軍の賃上げのニュースは国内メディア各社も取り上げている。賃上げの対象は解放軍全体にわたり、昨年後半に遡って支給し、上げ幅は5%~40%。また、今回の賃上げは「下に厚く、上に薄く」という方針で、下士官には一律最大幅の40%の昇給だという。
国防大学の辛子陵・元教授はRFAの取材に、今回の昇給は現在の国際と国内の不安定な情勢を睨んだものと指摘。「現在の状況では、軍隊は、政権維持の上で最も重要な要素だからだ」と語った。
実際、その軍隊は「休憩も取れない臨戦態勢だ」と、最初の「ジャスミン集会」が呼びかけられた時点の2月19日に、香港紙アップル・デイリーが解放軍軍人の話として伝えている。
エジプトのムバラク大統領を退陣に追い込んだ背景には、国民の抗議行動に「不介入」の立場をとり、ムバラク氏の「計算」から外れた軍の存在があった。しかし中国では、人民解放軍は国軍ではなく、中国共産党直属の「軍」であるため共産党にしっかり掌握されている。アップル・デイリーの2月22日の評論は、その中国共産党と軍の関係を分析したもので、それによると、共産党政権は現在、危惧される反政府運動を封じ込めるため軍に頼り、軍事力をさらに味方に付ける必要がある一方、軍部からは体制内における軍の地位向上を迫られているという。
同評論はさらに、海外の中国語ニュースサイト・博訊が伝えた中国国防省の将校の話を引用して、エジプト政変後に解放軍のシンクタンクが当局の政治局に「もっと軍の幹部を指導部に加入させるよう」要請したことを明らかにした。それは現在「両会」(全国人民代表大会と政治協商会議)に占める軍部代表の割合が異常に高く、また同将校が「軍を支持する者を軍も支持する」という軍の要人の話を伝えたことも含めて、現政権における軍の地位の重要性を物語っているという。
その政権維持の要となる人民解放軍へのタイムリーで大幅な、全面的賃上げ。「金さえ渡せば鬼でも言うことを聞く(中国の諺)という道理を政府はよくわかっている」「そのうち理由が明らかになる。(軍を)使う時が来たからだ」とネットユーザーは「真意」を明かす。
昨年、中国政府が国防に投じた国家予算は5321億元(約6兆6417億円)に上り、社会保障の3582億元と医療の1389億元の合計よりも多い。香港メディアは、今月審議される予定の今年度の国防予算と国内治安維持予算は、それぞれ6000億元(約7兆4641億円)を超すと予測している。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。