【大紀元日本12月15日】中国国家統計局の発表によると、11月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は予想された4.7%より上回り、前年比5.1%となった。2年4カ月ぶりの高水準を記録。中でも上昇の幅が最も大きかったのは食品類、11.7%であった。
インフレと各種自然災害の影響で、食糧収穫は最低水準に落ち込み、かつてなかった水準に食糧価格が引き上げられた。東北地方の食糧危機はかなり深刻で、冬に備えての食糧備蓄の習慣が各家庭での復活した。
急昇するインフレに民衆の不満は高まっている。共産党中央が発行する「小康」雜誌12月2日版が発表した「2010年 中国国民の関心事トップ10」の調査報告によると、物価がトップの座に上がっており、中国でこれまで関心度が高かった不動産価格や腐敗問題を押しのけた。
先月、中国南西部貴州省のある全寮制高校で、食堂メニューの値上げに腹を立てた一部の生徒が、学食の窓を割ったり、設備を壊したりするなどして暴れる事件が発生した。暴動を最初に起こしたのは数十人の生徒だが、その後数千人を超える生徒が彼らをはやし立て、食品を盗む生徒まで現れたという。
「これほど巨大なインフレを、中国の民衆は受け入れられないだろう。不動産は大部分の中国人にとって高嶺の花となり、日用品、衣服、食糧も暴騰しており、社会の安定を脅かすことは必至だ。この状態が続けば民衆の怒りは爆発し、中国政権を脅かす」と、中国の人気ブログ作家、社評家・顔昌海氏は自分のブログで指摘する。
「深刻なインフレで21年前の反乱が再来か」と題する記事で、顔氏は次のように記述している。「前例を見ても、1988年の通貨膨脹が間接的に天安門事件を引き起こした。政府官僚が今のように国家を顧みず私腹を肥やすことを続ければ民衆は反乱を起こす。21年前の風波が繰り返されるだろう」
また、インフレの原因は政府にあると同氏が指摘する。「中国経済の現状を改善する方法を持たないため、政府は通貨膨張の方法で救おうとしている」「(しかし)現状をさらに行き詰まらせるやり方だ。現状からみると、インフレの状況はすでに変えることはできないだろう。通貨膨脹は2年ないし3年続き,最終的に経済が崩壊し、民心も崩壊する。このため、インフレが社会に動乱をもたらすことは必然で、今回は1989年以上のものとなるだろう」と大胆な予測だ。
同氏のこのブログ記事は注目を集めており、多くの中国人ブロガーが転載している。
一方、今回のインフレ高昇の原因は巨額な通貨供給であることが、専門家の間で一致している。在米中国人の経済評論家、梅鳳傑氏によると、「米国は中国の3倍の経済規模だが、中国が発行する通貨は米国の1.6倍。当局の統計では09年の中国のGDPは33兆人民元だったが、同年、追加発行された通貨額は13兆人民元。必然的にインフレが引き起こされるわけだ」
リーマンショック後の経済刺激策としての9兆元投入に始まり、為替レートの人民元安と合わせ、中国政府による特権階級の利権を守るために成長率維持をはかった施策が引き起こした結果である。国有資産売却の私物化による富の収奪も限界を迎え、通貨の大量発行がインフレをもたらしたため、中国政府が税の増収をはかったことを梅氏は指摘している。
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