【大紀元日本8月9日】8日未明、甘粛省チベット族自治州の舟曲県で、前日の豪雨により、大規模な土石流が発生した。中国国内各メディアの昨日午後までの報道では、県内3分の2が浸水し、127人の死亡が確認され、2000人以上が行方不明となっている。
土石流は市街地に流れ込み、県内250万平方メートルの地域が平らになってしまった。ある村では300以上の家屋が土砂に埋まった。土砂が河川を寸断し、長さ3キロ、水面平均幅100メートル、水深9メートル、貯水量約150万立方メートルの堰止(せきとめ)湖を形成した。水位の上昇に伴い、堰止湖上部に亀裂が現れ、自然に水が排水され始めたという。このため、白龍江上流部の水位は2倍以上に上昇し、下流の住民の安全を脅かしている。
下流にある宕昌県では7日夜、高いところに緊急避難した住民が立ったままで夜を明かした。
「特大災害」として温家宝首相が同日、被災地に入り、救援の指揮を取った。
同県は、甘粛省南部に位置し、南は四川省に隣接。人口は約13万5300人で、チベット族住民が約3割を占める。
チベット族の著名作家・唯色氏は今回の土石流事件について、ツイッターで討論を行い、現地の情報を収集した。同県の地質調査報告などに基づいて、ダム建設や鉱山採掘と森林への破壊が今回の土石流につながったと指摘している。
それによると、舟曲県では長年黄金の採掘が行われ、山の森林が全て破壊されてしまった。かつて甘粛省の「桃源郷」と呼ばれた舟曲県だが、川に流れた水は黒い泥水ばかりで、県全体が破壊された山の谷に位置している。
更に90年代から、ダムの建設が大量に行われた。政府の公表によると、2003年以来、53個の水力発電プロジェクトが調印され、そのうち47個はすでに建設中。これらのダム建設で流失した土砂は75万トンに上る。甘粛省地質災害防治弁公室の王得楷主任は、数年前にも舟曲県を地質災害高発地区として挙げ、上層部に報告したという。
同県は2008年の四川大地震の時にも被災している。2008年6月18日付けの「深セン特区報」では、「土石流頻発 甘南の再建に脅威」と題する記事を発表、舟曲県の森林採伐が土石流頻発に繋がった問題を取り上げた。
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