ホンダに連鎖反応 日・韓・台系中国工場、相次ぐ賃上げ要求スト

2010/06/09
更新: 2010/06/09

【大紀元日本6月9日】大幅の賃上げに成功した結果に広東省佛山市ホンダ部品工場で20日間にわたるストライキが、やっと終結に向かった。労働者を主体とする集団交渉における初の成功例として、中国各地でストライキの波が広がっている。7日、同じく佛山市にあるホンダ系列の日系工場「豊富・汽配有限公司」では、従業員が賃上げ要求ストを決行。そのほか、6日、7日には、深セン市で7千人の台湾系電子部品工場、広東省恵州市で韓国資本の工場、江蘇省昆山市で台湾系工場が、相次いで大規模なストライキに突入した。

佛山市の「豊富・汽配有限公司」はユタカ技研(65%)と台湾系資本(35%)の合弁会社。ホンダ中国工場に排気システムを供給している。香港紙「南華早報」の報道によると、7日のストライキには、全社約460人の従業員のうち、250人あまりが参加した。会社側はその後、賃上げの要求を受け入れたという。

「もし彼ら(ホンダ中国部品工場)のストライキが成功しなかったら、私たちも今回のように一致団結することはなかった」と22歳の湖南籍の従業員は、「南華早報」の取材に応じて語った。

ホンダ中国部品工場のストライキは、賃上げを求めて、5月17日から突入。6月4日、給与33%アップの合意で解除となった。全行程は、20日間にわたる交渉となった。企業側をカバーする政府系の組合を排除し、従業員らは自らが代表を選出して企業側と交渉を行うことで、賃上げに成功した。さらに、従業員らは、今後、政府系組合を解散させ、労働者が民主選挙を通して代表を選出して、政府から独立した組合の設立をはかる方向に向かうと宣言。中国共産党が政権を握って以来、中国の労働者の手によるストライキという、歴史上のマイルストーンに値する出来事となった。

中国の安価な賃金に惹かれて中国に進出したホンダにとって、思いよりもなかったこの出来事は、中国各地で連鎖反応を起こしている。

深セン市では、電子部品メーカー「美律・電子公司」の従

6月5日、台湾系の自動車部品工場で、従業員2000人のストライキで、警察が鎮圧する様子。江蘇省昆山市にて。(ネット利用者提供)

業員数千人が、6日午前からストに突入。工場の門前に集結していた千人あまりの従業員は、賃上げを求める横断幕を掲げて、市内でデモ抗議を行った。一時は交通が麻痺して、警察が出動する騒ぎとなり、数人の従業員が暴行を受け負傷したもよう。同日午後、行政組織と従業員が共に労働者代表を選出して企業側と協議し、企業側が賃上げ条件を受け入れたことでストライキは解除された。

情報筋によると、7日、広東省恵州市にある韓国系精密機械工場でも賃上げストに突入している。

外資系工場のストライキは南部の広東省近辺だけに留まらない。6月5日、江蘇省昆山市にある台湾系の車部品工場「KOK書元機械」で、2000人の従業員が賃上げや福利厚生の改善を求めてストライキに突入。3日間続いた後、現地政府は7日に警察を出動して鎮圧。数十人の負傷者が出たという。一部の従業員は警察に連行されたが、賃上げに合意するまでストライキを続ける意向。

ドイツ銀行の中国担当主任エコノミスト・馬駿氏(香港在勤)は、ブルームバーグの取材に応じて、中国での賃上げ要求問題が急速に浮上しており、経営者側は、対応に慣れていく必要があると指摘する。その上で、「もし労働者の要求に応えることができなければ、社会的な安定が脅かされることになる」と語り、今後3年で賃金は14-17%上昇すると予測している。

米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」では、スト関連の報道記事で、中国人の多くが給与に隷属しており、中国の政府系組合は労働者の利益を代表しておらず、労使協議で労働者の声が全く反映されていない事実を伝えている。

中国政府は労働者が自発的に結成する労働組合を禁止してきたが、ホンダのストライキをきっかけに、労働者を代表する労働組合が誕生する時期が来た、と専門家は見守る。

一方、相次ぐ外資系のストライキ風潮に、中共中央政府直轄の労働組合「中華全国総工会」が4日、傘下にあるすべてのレベルの労働組合に対し、外資系や台湾・香港資本などの非国営企業内で、労働組合を設立し、出稼ぎ労働者も組合への参加などを促進するように通達した。同時に、「各レベルの労働組合は党の主導のもとで運営される」「従業員への思想・政治工作を強化する」など、共産党の指導介入を強調している。労働者の手による独立した組合が形成される動きに、「中華全国総工会」は、政府系労働組合の弱体化を警戒して、今回の通達が出たものと専門家は分析している。 

(大紀元日本語ウェブ報道編集チーム)
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