危機的な大干ばつ 数千人移動計画も=雲南省(訂正再掲)

2010/04/20
更新: 2010/04/20

【大紀元日本4月20日】(20日7時24分掲載の内容に一部誤りがありました。不正確な情報をお伝えしたことをお詫び申し上げるとともに、訂正の上再掲いたします。)

中国西南部では、長期間におよぶ干ばつが続いている。雲南省の一部では、今後も降雨がなければ、深刻な水不足に苦しむ村民たちを水源地に移すことも検討されている。最近では、国家気象庁も西南地区の干ばつについて予測がたたない状況だ。同省文山州では先日、水をくみ上げるために洞窟へ降りた村民5人が一酸化炭素中毒にかかり、うち2人が死亡するという痛ましい事故も起きている。

雲南省楚雄州では数千人移動計画も

10日、雲南省南部と中部地区、四川省涼山州および貴州省黔西南地区では最高気温が30℃に達し、雲南南部の局地では35℃~39℃を記録した。中央気象局11日の測定によると、雲南中部と東部、貴州西部と南部、広西地区西北部、川西高原南部では依然として干ばつの被害が深刻だという。

現在、同省南華県の県庁所在地付近の水不足は非常に差し迫っており、干ばつ対策部はすでに「住民の移動計画案」を提出している。この先も降雨がなければ、同県西端の村の状況はさらに悪化することになり、5~6千人の村民を水源地へ移すことも検討されている。

同県海抜1千700メートルに位置する雨露白族郷鉛広村には、22の村民グループが暮らしている。現在、4つのグループは山中の泉に頼りながらかろうじて生活を続けているが、その他のグループは断水に直面している。村内は荒れ果て、田畑は乾いた黄土に包囲されている。村民の何さんによると、今最も懸念しているのは村民らの食糧。後2か月ほどで食糧は底をつき、秋まき作物も全滅、種子もなくなったと話す。今季は植え付けもできないため、年間の生産にも影響が出てくる。正常な生産は、全く見込めない状況だ。

風呂については、長い間全く考えていないと何さんは話す。村には12キロ離れた小型ダムから水を引こうとしているが、配管がまだできていないという。現在ダムの水量は3万立方メートルにおよばず、ほぼ一カ月しか持たないという危機的状況だ。

村人たちは河から水をひいたり井戸を掘ったりしているが、水源の疫病などの問題も懸念される。

中国西南地区では長期間におよぶ深刻な干ばつが続いている。写真は、水を運ぶ女性(Getty Images)

取水中、村民2人が死亡

雲南省文山州硯山県嘎(かつ)郷城子山は、飲用水不足が危機的状況にある。先日も、村民数人が取水のために洞窟へ降り、一酸化炭素中毒で死亡する事故があった。

海抜1500メートルにある同村では、別の場所から運んできた水を貯め置いて生活している。しかし、水の輸送コストは高く、1戸あたり供給されるのは1日たったの20リットル。「今年は干ばつがひどいので、村民には出稼ぎに行くよう勧めている。現在村にいるのは大部分が老人や女性、子供たちだ」とある村民は話している。

地方政府は政治的な業績のため、水利基礎建設を軽視

今回の大干ばつで影響を受けたのは6420万人。110万ヘクタールにおよぶ農作物の収穫も絶望的だ。直接経済損失は246億元以上。中でも雲南省の耕地被害面積は4920万畝(1畝は6・667アール)で、干ばつ被災地のおよそ43%を占める。雲南省の場合、人口およそ4500万人のうち、水不足にあえぐ人は800万人以上。このうち、飲用水不足が深刻な高山や山腹斜面に住む人々が占める割合は75%に上っている。

ある評論によると、ここ数年、地方政府は都市開発に注力し、高層ビルやランドマーク、また利潤の高い水力発電所やダムなどを建設する一方、水利施設の建設工事を軽視してきた。これらは全て、地方政府が政治的な業績を上げることだけに専念し、民衆の利益を全く考慮してこなかった結果であると同評論は指摘。その結果、現有の水利施設は老朽化し、大干ばつに見舞われると手の施しようがなくなったとのだと論じている。

完全に水のなくなった井戸(ネット写真)

溝を掘り、水を引こうとする村民(ネット写真)

(翻訳編集・坂本)