「ジェノサイド」で起訴 スペイン法廷、江沢民らに通達(※)(修正再掲)

2009/11/26
更新: 2009/11/26

【大紀元日本11月26日】スペイン国家法廷はこのほど、中国前国家主席・江沢民を含む中共政権の高官5人に対して、法輪功学習者らが中国で残虐な拷問を受けたことについて「ジェノサイド 」(集団虐殺罪)と「拷問罪」で起訴することを受理した。法廷はすでに被告らに、法輪功迫害に対する質問事項が記された公文書を送付し、6週間以内に返答するよう命じている。

期限内に返答がなければ、国際逮捕状の発行となる。有罪が確定された場合、被告は最低20年の禁固刑となる可能性がある。中国当局は対応を渋っている。中共指導者らが海外の法廷に起訴される「前代未聞」の案件として、中国の指導部を始め、中央各直属機関と民間に大きな衝撃を与えている模様。

中央各直属機関、驚愕の反応

起訴されたのは、江沢民(こう たくみん)前国家主席のほか、法輪功を迫害する専門機関である「610弁公室」のトップ・羅幹(ら かん)、 重慶市委書記で元商務部長・薄熙来(はく きらい)、前北京市委員会書記長・賈慶林(か けいりん)、規律検査部門の責任者・呉官正(ご かんせい)の5人。

スペイン法廷の認定について、本紙記者は中共中央各直属機関に電話で取材した。電話に対応した中央司法部事務室の官員は、重大事件であり、司法部として応えられないと答えた。最高検査院と最高裁判所の官員は、「このような驚愕的なニュースに、コメントができないし、応えられない」と回答した。

外交部スポークスマン事務室の関係者が、「海外で本当に彼らを提訴することができるなんて、思いもよらなかったことだ」と、その場で驚愕の反応を隠せなかった。

外交部欧州局の官員は、すでにこの消息を知っていると認めたが、コメントを控えている。

公安部の高層と親密な関係をもつ北京の情報筋によると、公安部では上層から末端まですでにこの事を知っており、中では痛快なニュースだと拍手する人も少なくない。同情報筋によると、公安部は派閥林立で、江沢民らを恨んでいる者は少なくない。ジェノサイドと判定されたことを内部闘争の武器にして、今後、さらなる劇的な事件を引き起こす可能性があるという。

注目される中国側の今後の対応について、米国在住の人権弁護士・葉寧氏は、「4週間以内に、訴訟に応じるかどうか、非常に大変だが対応しないといけない。いずれの対応をしても、この案件においてすでに負けていると言える」と指摘する。

法輪功事件の重要な転換点

米VOA放送局(ボイス・オブ・アメリカ)中国語ネット21日の報道によると、スペイン国家法廷のイスマエル・モレノ判事は、法輪功学習者が中国で受けた拷問に関する2年間におよぶ調査を終え、中共政権の高官らを起訴する決定を下した。

VOAの取材に、米国中部地区の法輪大法協会主席・楊森氏は、法輪功学習者がスペインで勝利を得たのは、長期的な努力の結果であるとコメントした。「この訴訟事件はすでに2年間に及んだ。原告は、世界各地の法輪功学習者。被告はすべて現職か前任の中国共産党の高官であり、法輪功の迫害に直接責任を負う人たちだ」と話している。

1948年に国連でジェノサイド条約が採択されたが、認定されたケースは意外と少ない。法輪功に「ジェノサイド」罪が適用するというスペイン法廷の判定は、法輪功迫害における重要な転換点を意味する。

人権弁護士:画期的な案例

外国の法廷公訴が中国で執行される可能性について、北京の人権弁護士・唐吉田氏は、「普遍的管轄権」が可能にした今回の起訴は、国境を越えた正義を追求する上で、意義深いとコメントした。

「この裁判は、中国大陸の人に重要なメッセージを与えている。人権侵害を犯した者は、国内法では今のところ処罰されなくても、普遍的管轄権の原則から、必ずその責任が追及されることを、はっきり認識すべきだ。今まで愚かなことをしてきた多くの人は、一日も早く認識を改めなければならない」と唐氏は指摘する。

米国在住の人権弁護士・葉寧氏は、今回の起訴について、「国際公約の規定に従うもので、国家法廷による刑事起訴、罪名はジェノサイドと拷問罪。これらの特徴を考えると、この案例は、マイルストーンの重大事件である」と指摘する。

スペインの司法制度

なぜ、スペイン法廷は中国の指導者に対する訴訟を受理することができるのか。ワシントンポスト24日の記事によると、スペインは、さまざまな国際法規定を取り入れ、「普遍的管轄権」を認めている。つまり、重大な人道犯罪が起こった場合、管轄外である外国人の刑事責任も追及できる。

スペインは普遍的な人権の擁護者として頭角を現している。スペイン法廷がチリの元大統領ピノチェトを告発したのも、この法的枠組みの中で行われた。

国外法廷で裁かれても、中国国内で判決が実行できるかどうかは分からない。しかし、江沢民らがスペインに入国した場合は、即刻逮捕される。また、スペインとの締結国に入国する場合、逮捕・身柄請求を要請できる。

(※)【編集者註】当初「江沢民らに召喚状」としていたが、現在は、法輪功原告の刑事訴訟を、法廷が受理し刑事訴訟審理を起動した段階にある。審理のための答弁書を求める通知書が被告に送達されたということであるので、「江沢民らに通達」と修正する。(2009年12月4日)

(大紀元日本翻訳編集チーム)