対中国衛星放送の信号遮断、新唐人テレビが仏衛星会社を提訴

2009/08/03
更新: 2009/08/03

【大紀元日本8月3日】新唐人テレビ(本部=米国ニューヨーク)と衛星の使用契約を結んだフランスの衛星通信大手・ユーテルサット社(下略・ユ社)がその衛星放送の信号を遮断した事件は新たな展開を見せた。新唐人テレビがこのほどユ社を相手に起こした訴訟は、フランスのある裁判所に受理されという。

新唐人テレビは海外の華人が共同出資で設立した国外最大の中国語放送局。これまで中国国内の人権状況や、中国当局が封鎖する様々な国内情報を報道し続け、中国の上空に開かれた「自由の窓」と讃えられている。

しかし、去年6月、ユ社は「技術的な故障」を理由に、新唐人テレビの対中国衛星放送の信号を遮断した。

その後、幾つかのルートからの情報を分析したところ、中国当局からの圧力に屈し、対中ビジネスの利益を獲得するために、ユ社のベレータ総裁が自ら下した決定であるとの疑いが強まった。

この事件について、同年7月10日、国境なき記者団が公表した調査報告書で、ユ社上層部の幹部と中国の高官が交わした電話の録音テープが証拠として提示された。中にこの数年来中共は何度もユ社に対して新唐人テレビの信号を遮断するよう求める内容が含まれている。しかも、同記者団の調査によると、ユ社は予備の機械を備えており、「技術的な故障」があっても衛星放送に差し支えがないはずである。これらのことから、事件の背後に中共の影が見え隠れていると同記者団は分析している。

去年7月上旬、中国の民主化を目指すために海外の有識者らが組織した「中国臨時政府」を含め30の人権団体はユ社に共同声明文を送り、「一旦中共政権が崩壊し、民主政権が発足できたそのときに、貴社は中国の人民と未来の政府に本件をどう説明するのか」と放送信号の再開を強く求めた。

ヨーロッパ政界もこの事件の推移を見守っており、事件の真相解明に動き出している。今年1月、欧州議会は関連決議案を可決、ユ社に対し、新唐人テレビの対中国衛星信号を回復することを要求し、信号遮断の理由の説明を求めたが、ユ社は現時点でまだ対応していないという。

年初には5人の欧州議会の議員がユ社のベレータ総裁に対し、仏のストラスブールで本件に関する意見交換を行うよう提案したが、返事が得られなかったという。

新唐人テレビのスポークスマンのケッルイ・コウ氏は取材で国際社会の各界の声援と協力に感謝の意を表し、次のように語った。「すべての努力を試みてきたが、ユ社は行動を是正しなかった。そのような状況において、我々は法的手段に出た。独立の第三者機構に対し、ユ社が称している『技術的故障』を徹底的に調査し、真相の解明を求めていく」

新唐人テレビの代理弁護士、フランスの人権問題の専門家ウィリェム・ボーデン氏は、「新唐人テレビは(中国国内への)情報提供のルートの一つであり、中国人が中共のマインドコントロールから脱却できるよう支援している。歴史は必ず新唐人テレビ局の味方になる」と述べた。

法的審理の手順に沿って、新唐人テレビは現段階において、ユ社の内部の応対状況を全面的に調査し、中国当局による圧力があったかどうか調べるよう、裁判所に専門家による調査を求めている。

(記者・辛霏、翻訳編集・叶子)