全面的に悪化する中国経済、成長モデルの維持は困難

2009/02/10
更新: 2009/02/10

【大紀元日本2月10日】年末から年始にかけて、中国経済は、全体として顕著に悪化している。政府が公表した数字によると、08年第4四半期における中国の経済成長率は、前年同期比で6・8%となったが、これは、07年の数字の約半分である。当局はこの状況に対し、非常に緊迫しており、大規模な景気刺激策を打ち出し、09年における経済成長率の目標値8%の達成をはかろうとしている。09年1月、各地で「両会」が開催された際、地方政府は、09年において、省の経済成長率8%以上を断固として実現する態度を相次いで表明した。

しかし、中国の経済成長モデルの深刻な悪弊は反省しておくべきである。中国GDPの高成長は、主に投資と輸出によって牽引されてきたものである。消費需要を主な牽引役とする欧米の経済成長モデルとは大きく異なる。中国において、消費が牽引する割合は、わずか35%にすぎない。消費が過小である、すなわち、国民の購買力が不足していることから、大規模な過剰生産が発生している。大量の製品が製造された後、国民が消費できない分は、「世界の工場」に充てるほかない。すなわち、モノを外国人に売るしかない。

こうしたいびつな成長は、正常な環境の犠牲、資源の過度な消耗、低コストの農村出稼ぎ労働者の雇用によって維持されるが、これを持続することはできない。世界の金融危機の荒波が形成される以前において、人民元の上昇が続いたために、中国の製造業が損失を被りはじめ、投資環境は悪化に向かっていた。加えて、政府は、社会保障制度の整備が追いつかない責任を企業に転嫁し、取り急いで《労働契約法》を制定したが、これが製造業者の経営を困難にし、珠海デルタにおいて企業の倒産、リストラが発生するとともに、これが長江デルタへと蔓延していった。

そして、今回の世界金融危機は、中国の製造業に更なる困難をもたらした。海外からの注文が取消となり、または急減し、珠海デルタに倒産、リストラの波が押し寄せた。08年10月15日、中国最大の玩具工場の一つである合俊公司が倒産し、6千500人余りの工員が失業した。1カ月後、東莞市長安鎮最大の台湾資本の靴工場が倒産し、3千人余りの工員が生活の糧を失った。

広東各地の中小企業所管部門が報告した数字によると、08年の第3四半期において、生産停止、休業、倒産、移転を実施した企業は7千148社であった。しかし、10月期において、各項目の経済指標が大幅に悪化し、これらの企業の数が1万5千661社に上昇した。関係機関の保守的な推計によると、広州、東莞、深せんの3都市の工場4万5千のうち、約9千が春節前に倒産し、270万人の工員が失業するという。

09年1月、国際運輸の巨頭であるマースクが、広州支店で700人余りのリストラを行った。1週間後、広東の美的(ミデア)集団が、10%前後の規模となるリストラを通知した。また、珠海投資集団が、春節前後に30%の職員をリストラすると発表した。また、広東の富士康が10万人のリストラを実施するとの噂もある。

企業の倒産ブーム、大規模なリストラは、中国経済の一人勝ちがもはや過去のものとなったことを意味している。経済成長率を8%未満にしないための政府の方策は、依然としてインフラ建設への投資であり、消費ではない。投資がもたらす過剰生産は、輸出に活路を見出そうとし、米国を主とする西側経済が、負債によってこれらの製品を消費することに希望を託す。仮に、米国人がこれらの製品を購入しなければ、中国において、過剰生産の危機が直ちに勃発する。

しかし、米国政府が市場の救済に成功し、米国の民衆が負債による消費に自信を持っても、いまの中国経済のモデルは、その恩恵に浴することはできない。中国の製造業は、産業のバリューチェーンにおいて最末端に位置しており、GDPの成長に正比例して、環境破壊、資源の浪費及び労働者の粗悪な人権状態が発生する。労働者の権利意識が強まる中で、彼らが立ち上がってノーと言う可能性があるし、再生不可能な資源もまた、ノーと言う可能性がある。要するに、中国経済の成長モデルは、世界を救うことができないばかりか、自身を維持することすら困難なのである。

(翻訳・飛燕)