英国ケンブリッジ大学のシンポジウム、中国の人権状況を議論

2008/03/19
更新: 2008/03/19

【大紀元日本3月19日】英国ケンブリッジ大学でこのほど、「中国の人権迫害」と題するシンポジウムが開かれた。カナダの元外交官、前国会議員のデービッド・キルガー氏と、国際人権弁護士のデービッド・マタス氏が参加し、会場には200人あまりが詰め掛けた。キルガー氏とマタス氏は2007年1月、中国当局が組織的に、大勢の法輪功学習者から臓器を摘出し、その売買に関わっているというショッキングな調査報告書を発表し、以来世界各地で講演を行っている。

英国ケンブリッジ大学で開かれたシンポジウム(大紀元)

カナダの国際人権弁護士マタス氏(大紀元)

今回のシンポジウムで11日、両氏は、オリンピック開催が近づく中国で、人権状況はさらに悪化していると主張し、北京五輪のボイコットを呼びかけた。

更に、キルガー氏は去年のノーベル平和賞の候補者である人権弁護士・高智晟氏に対する迫害についても述べた。

キルガー氏によると、高氏は2001年、中国の「最優秀弁護士10人」に選ばれるほどの敏腕弁護士であり、低層社会の弱者に積極的な法的援助を提供していた。2004年からは法輪功への弾圧の実態を独自に調査し始め、その後、2度にわたり公開嘆願状を最高指導部へ送った。高氏は強制収容所で行われている法輪功学習者への拷問の実態を明らかにし、弾圧の中止を訴えたために自身の法律事務所は強制閉鎖となった。2006年8月、高氏は逮捕・監禁され、「国家政権転覆罪」という罪名で執行猶予付きの有罪判決を受けた。2007年の11月ごろ、自宅軟禁中の同弁護士は、米国政府宛に中国での人権状況を訴える書簡を公開したため、再度当局に強制連行され、いまだに行方不明である。

両氏は2006年5月から、中国の刑務所で行われている臓器強制摘出に関する調査を始め、2007年1月、中国当局が生きた法輪功学習者を組織的に監禁し、彼らから摘出した臓器を売買していると結論づける調査報告書を公表した。「1999年から、大勢の法輪功学習者が殺された。彼らの臓器は摘出され、外国人移植患者に高値で売られている」。この発表の後、両氏は40数カ国を訪問し、国際社会に対して臓器売買問題の解決を訴え続けている。

キルガー氏は、「今の中国共産党政権はナチスドイツのときと非常に似ており、オリンピックを利用して自己宣伝を果たそうとしている。1936年、ナチスは完全な専制体制を構築し、法的な審理なしでユダヤ人を逮捕・処刑できるようになっていた。当時、欧米国家はオリンピックの団結精神を維持するとの理由で、ナチスの一連の動きに見てみぬ振りをした。現在、多くの国々は自己の経済利益を最優先に考え、中国共産党政権の暴挙に無関心だ。これはまさに、歴史の再演であるといえよう」と述べ、民主国家が中国当局へいかなる妥協をしても、結局は自分たちに災いをもたらすことになると警鐘を鳴らした。

北京五輪についてキルガー氏は、「当初、中国当局はオリンピック憲章の遵守と人権の改善を約束し、国際オリンピック委員会(IOC)は五輪の招致を承諾した。いまのように中国で深刻な人権迫害が行われている情況下で、オリンピックの開催を許すのは、この国際的スポーツ祭典の信頼性を失墜させることになる」と述べ、北京五輪のボイコットを強く呼びかけた。更に、「国際社会が中国共産党に対して勇敢に立ち上がり、人権問題の改善を強く求めれば、中国当局は恐れるはず」と述べた。

 (記者・周成、唐英 翻訳/編集・叶子)