【大紀元日本8月23日】北京当局は8月18日から「好運北京(ラッキー北京)」と名付けた五輪開催の準備活動を開始している。「特色のある高水準の基準」で都市を管理し、文化宣伝など各方面の資源を活用し、1年にわたり実施するという。
しかし、準備活動の初日、当局は早朝から数百人の警察を出動させ、北京市南地区にある直訴者が集合した場所を包囲し直訴者たちを拘束した。北京民主活動家も自宅で軟禁されたという。また、北京の交通渋滞、大気汚染を緩和するために、車両通行に対して、奇数と偶数のナンバープレートで制限を行うなどが行われた。当局の五輪「管理実施」において、多くの民主国家が理解できない「中国の特色」が満ちていることは確かだ。一方、趙鳳桐・北京副市長の発言「市民の共鳴と支持は非常に微笑ましい」に対して、北京市民は、「民意を踏みにじられた」と副市長を非難している。
*北京五輪の開催、国際社会が疑問視
中国の有毒物質含有食品および輸出製品の安全性問題が国際社会に衝撃を与えてから、食品の安全性だけではなく、北京市の薄暗くてぼんやりとした大気汚染、渋滞する交通、どこでも唾を吐く、並ぶ列への割り込みや大声での罵り、殴り合いなどの現実に、国際社会のメディアが注目している。特に、法輪功(Falun Gong=ファールンゴン)などに対する弾圧、生きた法輪功学習者を対象に臓器を摘出し利益を貪ること、五輪のための強制的立ち退き問題、中国各地からの直訴者の人権状況の悪化などから、中国共産党(中共)当局の約束は信用できないとする民衆の不満が噴出している。一方、人権聖火の「要るのは人権、五輪は要らない」に対し、より強い関心が寄せられ、国内外の賛同者が急増している。
強制立ち退きされた直訴者たちは、五輪を中止すべきだとの意見を持つ者が多い。しかし、北京当局は種々の強力な措置を取り、五輪の成功を保証すると強調した。当局は乗車時に「自主的に列に並ぶ」ことを呼びかけ、五輪開幕当日が雨天の場合、人工的に雨を止めると発表したほど意気込んでいる。こうした自然に反する考え方とやり方に、海外評論家からは、驚きの声が上がっている。また、日本のテレビ番組でも、このような国が五輪を開催するのがふさわしいかどうかを考えるべきだとの意見が示された。
*直訴者300人弱が拘束された
18日、五輪準備活動初日に配備された警察官200~300人が、北京市南区にいる約300人の直訴者を拘束し、3台の大型バスで馬家楼へ強制連行した。一方、北京にいる民主活動家・齊志勇氏、劉安軍氏、葉国強氏、周莉などが当局の監視を受けた。直訴者・張淑鳳さんは8月9日より、地元の警察および保安に自宅に軟禁されたと語
8月18日、落成したばかりの「北京オリンピック委員会」ビル。五輪に異議を唱える人々の反対活動を遮るために、周辺に多くの警察車両が配置されている。北京市民は、警察の車が道路を遮り、交通を乱していると非難した
った。
*民意を踏みにじった北京副市長
北京当局は交通渋滞および大気汚染を緩和するために、8月18日より、奇数と偶数のナンバープレート車両の通行制限を行った。官製メディアはこの実施を大きく称えたが、北京市民は、一般乗用車の道路使用料は、昨年の年間260元だったのが、今年は600元にまで上がり、しかも道路使用権利は半減させられたと不満を漏らし、「ラッキー北京」はまさに、民衆を困惑させる措置だと嘆いた。
平日は車で混雑する北大南門も、18日は空いていた
車に乗れない過半数の市民は自転車で出勤することになったため、自転車は当局が停車禁止の場所に置くしかなかった。「ラッキー北京」に対する市民の態度は、無言の現状が物語る
*立ち退きは一戸もないと主張する中国外交部
スイス・ジュネーブに本拠を持つ「CHRE(Centre on Housing Rights and Evictions)」は、北京五輪のために、強制立ち退きさせられる北京市民の数が、五輪開催までには150万戸まで増加する報告を発表した。これに対して、
五輪のために立ち退きさせられ、取り壊されるビル
中国外交部は、立ち退きは1戸もないと否定した。
北京人権活動家・葉国柱氏は記者に対して、「(五輪開催権を獲得した)6年前に五輪の成功を祝った当時、決してそれが我々の災難の始まりだとは思いもしなかった」と語った。葉氏親子3代が長年居住した場所および永定門にある2軒のレストランが、五輪建設を理由に当局に強制立ち退きさせられた。しかし、葉氏はこれまでに当局より立ち退きの補償金は一切与えられなかったという。葉さんによると、弟の葉国強さんが抗議のために、金水河に飛び降りた。しかし、そのために2年の判決を言い渡されたという。また、葉氏自身も4年の懲役を処された。葉氏は投獄された3年間の内、自ら無罪を訴え、上訴を主張したため、2年と6ヶ月以上は厳管隊に監禁されてという。
一方、インターネットのブログに一時的に貼り付けていたメッセージによると、水上公園で果樹園請負業者20数戸が2004年3月に当局から立ち退きさせられたが、その被害者の一人が、政府が派遣した査定業者の報告書の署名と公印が偽造であることを暴いた。
立ち退きの補償金は、1平方メートルに対して1080元。中国当局は不当な価格で民衆から不動産を略奪したとネットで問題になった(ネット写真)
五輪があるから、北京当局は地方からの出稼ぎを追い出し、首都のイメージを「浄化」する。また、都市管理において、町の外観に影響を与えることを理由に、北京当局は露店や屋台も追い出し、財物を押収している。
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