中共諜報活動、旧ソ連と同様に大規模かつ厳密=欧州戦略情報センター高官

2007/07/19
更新: 2007/07/19

【大紀元日本7月19日】駐北米中国在外公館が地元の華人団体および学生親睦会を利用し、スパイ活動をさせる事件が相次いで明るみが出たことから、中共情報機関による海外各国への浸透は欧州の多くの国が強い関心を寄せた。かつてベルギーで起きた中共高級幹部スパイ事件調査に参与していた欧州戦略情報安全センター執行長のクロード・モニキト氏(Claude Moniquet)は新唐人テレビ局のインタビューに応じた。モニキト氏は、中国大陸の諜報機関の規模が大きく、運営も厳密であることから、20年前の旧ソ連諜報機関と同様だと指摘した。インタビューの内容は次の通り:

記者:駐シドニー中国前外交官・陳用林氏は少し前にカナダを訪問したときに、駐北米中国在外公館が地元中国人学生の親睦会を利用し、スパイ活動にさせたことと、最近発生した関連事件、また、2005年欧州における産業スパイの追跡で、ベルギーのカトリック・ルベイン大学(Catholic University of Louvain)にある中国学生会に辿り着いた。これらの事件についてどう思われますか?

モニキト氏:まずどこの国にもスパイはいることを説明しておくが、中国のやり方は非常に侵略性を帯びており、規模も大きい。また、中国の諜報機関の運営も厳密であり、まるで20年前の旧ソ連のようだ。かれらは国家安全部があり、軍隊にも特別情報局を設置しており、多くの海外の出先機関をコントロールし、特にメディア関係者、もちろん学生も含まれている。

現在、中国当局は海外に留学している多くの中国人および海外で仕事をしている数万人の中国人を組織し、学生連盟や中国人学生親睦会などに仕向けた。これらの団体は通常では、文化事務部門を通じて中国公館と密接な関係を持っている。海外華人は故郷と連絡を持つようにしたいことから、中共政府はこれを利用して、海外へ命令を伝達し、学生にスパイおよび宣伝活動をさせた。数年前に、ベルギーのカトリック・ルベイン大学で、中国留学生連合会がスパイ活動をしていると指摘され、調査を受けた事件があった。同件についての調査はまだ終了していないが、彼らは中共公館との関係はすでに明らかである。

記者:米連邦調査局はすでに「中国学生懇親会」の名義を使っている中国人学生行動を密接に観察している。欧州はこのような現象はどの程度までに明白にしているのですか、特にベルギーはこれに対してどのような政策を取ったのですか?

モニキト氏:残念ながら、スパイ問題において、欧州は米国のようにはなっていないのだ。米国は安全問題において明確な政策を取っており、米中の貿易関係は存在していても、米国は中国側に対して、米国内で如何なるスパイ活動をも行ってはならないと明らかにし、一旦発見されれば、スパイは監禁またはそれより大きいトラブルに巻き込まれると警告している。

しかし、欧州はそれと違うのだ。大多数の欧州国家、例えば、仏・独・伊・西などの国では、中国スパイはそれぞれの国で活躍しており、実際に工業および企業機密を盗んでいることは分かっている。しかし、多くの事件は報道されないのは、中国との摩擦を起こしたくないし、中国側との経済関係に影響を与えたくないからだ。総括にすると、米国は中国に対して非常に強いメッセージを送ったことに対して、欧州は非常に弱いメッセージしか出していない。これは確かにまずい。

記者:カナダ首相は、中共当局に対して頑なに人権問題を提起しました。これに対して、最終的に中共側が譲歩したことは周知の事実です。

モニキト氏:確かに、われわれは中国との付き合いの中で、自己の原則を堅持しなかったことは失策である。われわれは中共に対して、経済関係を築き保つが、スパイ活動は許さないことと欧州に生活している華人を利用したり、脅迫したりしてはならないことを明確に伝えるべきだ。

私は、原則を堅持し、スパイ活動に従事した外交官を追放することは、欧州と中国間の貿易関係を壊すことにはならないと思う。勿論、中国側は公開に否認・抗議し、経済を断絶すると脅かしてくる。しかし、最終的に、中国はやはりわれわれとビジネスせざるを得ない。それ故、われわれは米・カナダのように明確な政策を出すべきだ。

記者:指摘されたように、中共当局の手法は非常に特別であります。その上、自国民を制御することは海外にまで手を延ばしています。

モニキト氏:現時点の中国は決してわれわれが言う民主国家ではないことが問題の鍵である。中国はここ20年間において、確かに発展した。しかし、中国は依然として民主国家ではないことから、中共当局は海外にいるすべての華人に対して圧力を掛けることができる。海外華人は強制的にスパイにさせられ、または、中国在外公館の命令に服従しなければ、国内の親族がトラブルに遭う可能性がある。しかし、民主国家はこのようなことはしない。

欧州の国々における政策決定者たちは、非民主国家と付き合うときに、われわれは必ず自己の原則を堅持しなければならないことを熟慮しなかったのだ。欧州各国は中国との付き合いにおいて、常に見てみぬ振りをしており、一部の問題に対して無視しているのだ。

記者:欧州は、中共当局のスパイをしている海外の中国人学生会や親睦会に対して、どのような対策を講じていますか。

モニキト氏:私は企業に対して、中国人学生および中国人研修生を雇用するときに、非常に気を付けるように、特定の技術および知識、情報領域へ近寄らせないように忠告する。すでにあまりにも多くの技術が中国に盗まれたのだ。

中国スパイ問題において、欧州国家は必ず明確な政策および一致の態度がなければならない。われわれは、中国に対して、ビジネスに協力し、中国学生に就職の機会を提供する。しかし、いつか中国人学生または外交官が企業機密や技術機密を盗んだことが発覚すれば、ゲームも終了するのだ。われわれはそのときに制裁行動を取るとはっきりと表明する。

記者:政治スパイに強いられたが勇敢に立ち上がった者に対して、ベルギー政府は直ちに政治庇護を提供するのですか。

モニキト氏:欧州において、政府側の政策には未だに定まっていない。しかし、個人的に彼ら、個人または親族に対して、政治庇護の提供が必要であると思う。冷戦時代の旧ソ連人に対する政策と同様にすべきだ。これもまた、中国スパイを制御する良い方法でもあるかも知れない。