米医学界:中国臓器狩りに議論活発化

2007/05/06
更新: 2007/05/06

【大紀元日本5月6日】中国国内の秘密収容所で生きた法輪功学習者の臓器を強制摘出・売買する裏幕が昨年3月に暴露され、カナダの独立調査団は本件について、同年7月に調査報告書を公表したのに続き、今年1月には報告書の追補改訂版を公表し、33の論証方法を追加し、臓器狩りの内部告発は事実であり、さらに立証されたとの調査結論を下した。これを踏まえて、サンフランシスコで開催された国際心肺移植学会(下略、ISHLT)第27回年度会議(4月24日~27日)で、臓器提供の道徳問題を中心に議論が交わされた。また、米国ミズーリ州セント・ルイス市で4月25日、「臓器移植とその専門医の育成に関する議論」をテーマとするシンポジウムが開かれた。会議中に、カナダ独立調査団の証拠と調査結論が引用され、中国での極めて不透明な臓器提供に、医学界はどう対応すべきかなどの問題が議論された。

中国の臓器狩り事件を調査するカナダ独立調査団のデービッド・マタス氏(国際人権弁護士)およびデービッド・キルガー氏(カナダ政府元大臣)は1月31日、オタワ議会で「残忍な生体臓器摘出―中国における法輪功学習者を対象にした臓器狩りの告発に対する調査報告」の追補改訂版として、これまでの18の論証方法から33へと拡充した。

報告書では、中国人の臓器提供の伝統がない上、中国での臓器提供の健全なシステムもないと説明、「このような情況にも関わらず、中国の移植用臓器の供給は極めて潤沢で、臓器移植大国となっている、しかも待機時間が異常に短い」と指摘、中国当局は、臓器提供者は死刑囚であると説明しているが、外国人の臓器移植患者の証言では、病院側は臓器の提供者について明らかにせず、多くの手術は秘密裏で行われたという。

二人の独立調査官は、「多くの国では、自国での臓器移植の関連法律があるが、国民の海外での臓器移植を管理する法律がない。自国民の中国での違法な臓器移植に、『見てみぬふり』の姿勢を取っている。中国に渡航し、違法な臓器提供を受ける行為が容認されている原因の一つは、取締る関連の国際的な法律がないためだ」と指摘した。

サンフランシスコでのISHLTの第27回年度会議において、学会の理事長、スタンフォード医科大学の心臓外科主任ロバーツ・ロビンス(Robert Robbins)氏は、ISHLTは臓器提供の道徳問題において、供給源の透明化を強く提唱すべきと強調した。

ドイツベルリンの心臓移植センターの心臓移植外科医ハンス氏(Hans Lehmkntk)は会場外で、中国の臓器狩りの真相を伝えるチラシを配っている法輪功学習者に、「ベルリン大学はいま、積極的に各種の方式で情報を収集し、多くの会議を主催、中国での臓器狩りをより多くの人に知らせようとしている」と明かした。

ローランス・クラウス(Lawrance Krauss)氏は今会合の総決発言の中で、科学と社会問題をテーマの報告書を提出、「科学は政治の影響を受けてはならない、正直・誠実と反独裁主義は科学の基盤であり、うそに直面するとき、科学者はそのうそを見破る義務を果たすべき」と見解を示した。

また、4月25日、米国ミズーリ州セント・ルイス市のBarnes-Jewish病院で、シンポジウムが開かれ、テーマは「臓器移植とその専門医の育成に関する議論」(Controversies in Organ Transplantation, Training Transplant Surgeon)。同シンポジウムの主催者はワシントン大学医学院の倫理と人類価値研究センター(Center for the Study of Ethics and Human Values)と人権促進の医療関係者の会(Student Chapter of Physicians for Human Rights)。ミネソタ大学とワシントン大学の専門家などが講演した。

ミネソタ大学の人権と医学プログラムのキルク・アリソン(Kirk Allison)副主任は講演の中で、中国国内で大量に犯人から臓器を強制摘出する状況を紹介、カナダ独立調査団の調査証拠と結論を引用、「中国国内でここ数年臓器移植が異様に激増したのは、当局が生きた法輪功学習者の臓器を強制摘出と密接な関連がある」との見解を示した。

ワシントン大学医学院の教授で、Barnes-Jewish医院の倫理委員会のスティーブン・レフラーク(Stephen Lefrak)会長は、医療機関は臓器を強奪するという違法行為をどう対処すべきかの問題について、講演を行った。同教授は、中国から臓器移植の研修医の育成を中止すべきかどうか、これらの医者への医学倫理道徳教育を強化すべきかどうか、いくつかのテーマに関して見解を示し、「中国からの研修医への倫理道徳教育を強化しても、中国国内の独裁体制下において、臓器狩り犯罪の制止に有効であるかどうか」などの議題を展開した。

今回のシンポジウムの主催者の1人、イラ・コデッナ(Ira Kodner)教授は、ワシントン大学医学部の「倫理と人類価値研究センター」主任。同教授は昨年8月、法輪功学習者が召集した中国当局の臓器狩りを暴露する報告会に参加した。

会議には、複数の法輪功学習者も招かれ傍聴した。会議終了後、法輪功学習者のキャロルさんは、「人々が徐々にこの問題(中国当局による生きた法輪功学習者への臓器狩り)に注目し始めているのは、非常に良いことだ。状況を理解した医療関係者は自発的に行動を起こしている。医療界において、ことの真相を広く伝え、積極的に措置を取るのが非常に重要であり、一日も早くこの暴挙を制止するには重要な役割を果たせる」と話した。

また、法輪功学習者の蘇さんは、「会議に参加した数十人の外科医は誰一人、中国での臓器狩りの信憑性に疑問を呈さなかった。専門家である彼らにとって、様々の証拠や、データを基づいて出されている結論は明らかなものでしょう。人々は今、何をすべきなのか、どうすべきなのかを議論し始めている。もっと早く、もっと有力な措置を講じ、早急に中共政権の臓器狩りを制止するのを願っている」と語った。