【大紀元日本12月27日】長い伝統を持つ漢方医学は、近年、国際社会の関心と注目が高まる一方で、その発祥の地・中国では、存続の危機に直面している。
鎖賀祥氏と馬志偉氏の統計によると、全国の漢方医師は、1949年に27.6万人であったのが、2004年になってもやはり27万人で、55年間その数は変わっていない。一方、西洋医の数は、同時期に8.7万人から157万人まで増え、18倍になった。
さらに、現在中国の漢方医病院は、ほとんどが中西医学結合(漢方医学と西洋医学の結合)の形である。本当に伝統漢方医学の教育をうけて伝統の漢方理論に沿って漢方薬を使う「老中医」(年配の経験豊かな漢方医師)はほとんど退職してしまった。一方、中医薬(漢方医薬)大学では中西医学結合の教育を行っており、そこで育った漢方医師は、漢方の古典をあまり勉強せず、診断方法も、現代医学の検査に頼る場合が多い。統計によれば、現在27万人いる漢方医師の中で、本当に伝統の漢方理論に沿って漢方薬を使っている医師は、3万人しかいない。多くの漢方医師は、現代医学の化学薬品を使うか、中西医学結合の中途半端な方法で漢方薬を使っている。
これに対して、中日友好病院の焦樹徳教授と広州中医薬大学の_deng_鉄涛教授は、「もし現在の漢方医学の教育を大きく改善しなければ、恐らく10年後には、伝統の漢方理論に沿って患者を治療できる本当の漢方医師は完全に消えてしまうだろう」と指摘して、伝統漢方医学存続の危機に警鐘を鳴らしている。
現在、中国には32カ所の中医薬大学があるが、実際はすべて中西医学結合の教育を行なっている。大学の全ての授業時間の中で、約3割~5割の教育内容は、西洋医学の教育である。学生たちは、漢方医学の古典の読解に必要な古代漢語の勉強より、外国語の勉強をより熱心に行なっている。
一方、先祖の伝統医術を受け継いでいる民間の漢方医師は、優れた医療技術があっても、大学の卒業証書がなく、西洋医学が分からず、外国語ができないなどの理由で、医師免許がもらえず、正式に医業を行なうことができない。このような民間の漢方医師は、四川省だけで9228人、全国に15万人いると推計されている。
この危機を加速しているもう一つの理由は、経済的な問題である。漢方の方法で一人の外来患者を治療しても数十元(数百円)の収入しか得られないが、西洋医学の方法で同じ患者を治療すれば、数百元から数千元(数千円から数万円)の収入が得られる。その中には、現代医学の検査費用がたくさん含まれている。このような状況下では、漢方医学の技術を熱心に研究する人は少なく、むしろ、漢方医師は積極的に現代医学の検査と治療技術を使うようになり、一部の有能な漢方医師は、外国に流出する傾向さえある。
今の状況が改善されなければ、広州中医薬大学の_deng_鉄涛教授が危惧するように、「10年も経たないうちに、漢方医学は我々の手によってつぶされてしまう」であろう。
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