【大紀元日本11月15日】中国当局の発表によると、過去9年間に裁判所が受理した刑事事件は500万件以上、被告は620万人余りに及び、無罪判決を受けた人はわずかに1%未満であるという。国際人権組織と中国の人権弁護士は、中国の司法制度の公正さが欠け、刑事事件の弁護は困難であり、裁判において裁判の最終決定権は裁判官ではなく中国共産党(中共)幹部が握っているという。
中国最高裁判所長・肖楊氏が先週、北京で開かれた「第五次全国刑事裁判手続き会議」席上で、98年からの9年間で、中国の全裁判所が受理した刑事案件は530万件余り、既に判決が下り法的な拘束力が生じた被告人は620万人余であると明かした。新華社通信によると、5年以上の刑期を宣告された被告人は76万人で全体の22%を占め、無罪判決を受けた人は4.1万人で全体の0・66%であった。
ロイターの報道では、国際人権組織がこれまで幾度となく、中国の司法体制の公正さが欠けていることを指摘しており、警察が拷問を用いて自白を強要し、訴訟手続きを踏まないため、刑事事件での弁護は難しいとしてきた。
大陸の弁護士・楊在新氏は、ラジオ自由アジア(RFA)放送の取材で、中国の弁護士は刑事事件の弁護をやりたがらず、中国の司法制度下では、裁判所が検察の誤りを糾すことが困難であるとの認識を示した。「刑事事件の弁護に関しては、往々にして弁護士は逃げ腰になりがちだ。弁護士の多くはやりたがらないし、極力これを避けようとする。弁護士が証拠を指摘しても相当に困難だ。裁判所は弁護士が収集した証拠を、往々にして採用しない。動かぬ証拠を収集しても、検察官たちは自らの立場を案じ、被告に自白を強要し、弁護士の証拠に対抗する。甚だしいときには、弁護士を迫害する」と明かした。
楊弁護士によると、裁判所には審判委員会が存在するが、構成者は裁判官を除くと、共産党の政治法律委員か人民大会の官僚で、通常は審判手続きに関係ない官僚たちが裁判の最終決定権を握っているという。
中国官報によると、ここ9年来の裁判所における刑事審理の二審は76万件で、その内、判決が覆ったり再審理したりしたのが16万件、21・2%を占めた。四川成都大学の法律学者・王怡氏によると、二審は、被告人が控訴することにより生じるが、中国の裁判所では二審で被告人に質問しないため、上訴人の権利を考慮するのは困難であるという。「二審の目的は、刑事案件の被告に再審理の機会を与えることであるが、開廷審理をしないのであれば、被告にはその機会を生かせず、裁判官にだけその機会は有効で同じ宣告を繰り返すだけだ。現在の中国で判決が変更される可能性が非常に低いのは、二審の開廷率が低いことと関係がある。二審が開廷されることはほとんどない」。
王氏によると、毎年のように一般市民が起こす「陳情」は2000万件を超えており、中国の司法制度が機能していない証だという。特に、中国の地方裁判所は、常にあらゆる手段でマスコミの取材を避け、民衆の声を採りあげようとしない。その典型的な例が地方政府の案件で、審理が公開され公正に行われることは、まず有り得ないという。
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