【大紀元日本5月22日】ドイツのメルケル首相は21日夜、北京に到着、中国訪問を開始した。今回の中国訪問は、メルケル首相就任後の初めて。22日胡錦濤国家主席と温家宝総理と会談し、経済交流を強化、イランの核問題、中国の人権などの問題について意見交換するほか、今回の訪問でもっとも注目されるのは、同日夜中国の人権活動家4人との面会。
同首相はドイツ歴史上の初めての女性首脳。昨年11月に就任したメルケル首相は、すでに米国とロシアを訪問した。シュレーダー時代に厳重の亀裂が生じた米国との関係を修復し、ロシアとの外交関係をも調整した。今回の初めての中国訪問は、ドイツの未来の対中政策の基調を決めることになると見られる。欧州連合でリーダシップを発揮しているドイツは、これから国際舞台での役割分担や、米、中、ロ3国との外交関係の調整などの問題をどう処理するのか、国際構造の中で勢力の再分配を左右することになる。
今回の訪問で、双方は一連の重要問題について、相手を探る重要な目的があるとみられる。 ドイツ側の関心は、中国のイランと北朝鮮問題への態度および中国がアジア地域における戦略的な役割。政府報道官は、中共政権はイランとスーダン両国と緊密な経済貿易関係を保っているが、政治問題については傍観者的な態度を取っていると述べ、中共に対し、さらなる国際責任を背負い、イランの核問題や、スーダンの情勢変化などについて、国際社会と歩調を合わせるようにと求めた。
一方、ドイツはEU諸国において、中国の最大の経済パートナーである。そのため経済協力問題は常に両政府のトップ会談の主要議題となる。今回の訪問も、40社以上のドイツ企業の代表は同行し、20件の経済協力協議を締結する予定。
もっとも注目されるのは、今回の訪問中に、メルケル首相は中国の非政府関係者と面会すること。22日夕方、胡錦濤国家主席と温家宝総理と会談後、駐北京ドイツ大使館で中国の農民問題を取り上げ、出版禁止と命じられた本「中国農民調査」の著者・陳桂隷と呉春桃夫婦とほかの民間人権活動家二人と面会し、23日には上海でバチカンが承認したカトリック教の金魯賢・司教と面談する。それについて、北京大学の元副教授・焦国標氏は「西側国家の首脳が自ら中国の非政府関係者を接見することは、中国で胎動しかけている民主勢力に励みになるだけでなく、新しい外交伝統を開拓した」と高く評価した。
メルケル首相は東ドイツの牧師家庭で育った。野党党首を務めるときには、メルケル氏は再三にシュレーダー前首相が経済協力で中共政権に偏っていると指摘、中国の人権問題について触れようとしない「妥協政策」を強く批判し続けた。しかし、シュレーダー前首相が実行してきた「対華政策」の継続を強く要求するドイツの企業家に囲まれる中、両国の経済貿易関係を影響せず、中国の人権状況の改善を促進する外交政策を開拓できるかどうか、注目されている。
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