農民の抗争、軍人の上訪 中国の社会矛盾が激化

2005/04/15
更新: 2005/04/15

【大紀元4月14日】大紀元記者李丹報道
不動産の無節操な開発は、適切な移転先が与えられない立ち退き人を生み、私有企業や地方企業の盲目的な建設は、生態環境の深刻な悪化をもたらし、官僚の腐敗や公安局・検察院・人民法院の違法行為は、貧富の格差を拡大させるのみならず、民衆の心のバランスを失わせている。また、人権の迫害、信仰の迫害によって被害を受けるグループは日益に拡大しており、各種の社会矛盾が深刻なまでに激化している。

統制・管理の厳しさで世界に名をはせる政治体制の下で、大規模な集団抗議や上訪事件が、依然、絶えず発生している事実は、こうした矛盾が非常に深刻な段階に達していることを示している。

東陽農民:土地を返せ、私は生きたい

浙江省東陽県画水鎮は、かつては風光明媚な地であったが、化学工場、プリント工場、農薬工場等13の工場を建設して以来、生態環境が悪化した。空気中に悪臭が漂い、村民の家は窓を開けることができず、人は煙で涙が止まらず、多くの妊婦の間で流産が起こり、山の木は皆煙で枯れてしまった。食べ物は町へ行って買わなければならず、農地も作物を植えられなくなった。

村民は、市、省、中央に上訪をしたが相手にされず、参加した6、7人が上訪をしたかどで拘留された。メディアを探そうにも、取材して報道してくれる記者が誰もいなかった。

村民は自らを救うため、路上に仮設の小屋を建て、工場の車両が物資の出し入れするのを遮断した。6、70歳老人が自発的に小屋を守ることを求める一方、当局は小屋の撤去を求めたが、村民は同意しなかった。

画水鎮の到るところで、村民が貼りつけた次の標語を見ることができる:“私たちには生きることが必要である、私たちには土地が必要である”“土地を返せ、私は健康でありたい”“土地を返せ、私はご飯が食べたい”“土地を返せ、私は生きたい”

4月10日、市政府は警察力4000人分余り(うち半分は騙されてやってきた他村の村民)、180台の車を出動させ、画水鎮へやってきて武力で整理することをもくろみ、村民に小屋の撤去を求めた。村民がこれを拒否すると、市委書記 湯勇は車を強行発進するよう命じた。その場で村民が轢かれ、少なくとも一人が死亡し、数十人が負傷して病院に運ばれた。

東陽市政治法律委員会は、最近、“東政法2005年27号文書”を発した。その内容は、村民が“和諧(調和)”社会を築き、政府を信じ、政府をよりどころとし、政府と協力することを求めた。さらに、小屋を建てたのは違法で、事件は“個別の下心ある者”“個別の悪巧みをしている者”が煽動したものであり、“社会生産秩序を乱す不法分子と断固戦う”必要があるというものであった。

現在、各方面が事件の展開に密接な関心を持っている。

退役軍人の集団上訪

4月11日午前、2000人余りの軍服を着た除隊・転籍軍人が、北京市西城区にある総政陳情応接処に集まり、集団で上訪を行った。

北京当局は、機動隊を含む約3000人の警察を動員し、総政陳情応接処の附近の道路を包囲した。警察は27台の大型バスを集め、この上訪軍人を連行した。乗車を拒否する者は警察に殴打された。軍人の年齢は40歳余り~60歳と様々で、大部分が陸軍であったが、空軍の兵士もいた。

消息筋によると、中共は20万人の軍のリストラを決定したが、これらの軍人は、待遇の保障されない単位に配属されることとなっており、このために上訪を行ったという。

当局は、現在、彼らが如何にして、どんな方法で、誰によって組織されたかを追跡調査しているところである。

分析によると、軍隊の規律は厳格であり、配属に従わないで上訪をした彼らは、報復的な厳しい制裁を受けるおそれがある。

詰め掛けた上訪者が両弁の鉄門を押し倒す

*両弁:国務院、全人代の陳情事務を担当する所(弁公庁)、看板が左右二つあり、門が一つなので“両弁”と呼ばれている。

4月13日の早朝、北京両弁の入り口は、列をなして上訪をする民衆でごったがえしていた。午前11時、現場の人数はおよそ1万人に上った。後ろの人が前に出ようと人を押しのける中で、両弁の大きな鉄門が押し倒された。門の近くにあったコンクリートのブロックも倒れ、また上訪者もひとまとめに倒れ、多くの人が負傷した。

上訪者によると、最近、上訪を行う人が非常に多く、毎日5000人-6000人を超える人がやって来るという。当日は、人数が最も多く、各地から来た上訪妨害も4000人余りいた。しかし、両弁は、受付番号を、毎日たったの数十件しか出さない。このため、待つ人の数が累積されればされるほど、人数は増えていく。

上訪者と妨害者は中国の特徴をなしている。前者は、最下層の暮らしをしており、夜は街を流浪し、ムシロの上で寝ている。一方、後者は、公のお金で山海の珍味を食べ、ホテルで暮らしている。

社会矛盾の激化

ここ数年、官民の衝突が頻発しており、その激しさも増している。政府系の《了望》週刊の統計によると、中国において、重大な社会の動乱事件が、2003年で約5万8千件、1日あたりで169件発生している。

中共の内部通報によると、昨年の9月だけで、合計310万人余りがデモ、集会、上訪に参加した。

分析によると、中国の社会矛盾はすでに深刻なまでに激化しており、社会危機は全面崩壊の域にまで達しつつある。