中国 午前4時、配達バッグの中で泣く子供

子連れでフードデリバリー 親たちの切実な事情=中国

2026/10/25
更新: 2026/10/23

子供にはお腹いっぱい食べさせたい。夜は温かい布団で、安心して眠らせてあげたい。

親なら誰もが願う、そんな当たり前のことさえ、かなえるのが難しい人たちがいる。

就職難や経済不振が続く中国で、小さな子供を抱えながら懸命に働く親たちの姿が、相次いでネット上に投稿されている。

雲南省では、午前4時の街角で、料理の配達バッグに入れられた小さな子供が一人で泣いている様子が撮影された。親は料理を届けるため、建物の上階へ向かったとみられる。戻ってくると、子供はようやく泣きやんだという。

なぜ、こんな時間に小さな子供を連れて働かなければならないのか。家庭の詳しい事情は分かっていない。それでも、深夜の街角に響く泣き声は、見る人の胸を締めつける。

河南省では、3人の子供と病気の母親を養う女性が、涙ながらに助けを求めた。料理の配達員として8日間働いても、稼ぎは200元(約4400円)足らず。7日間は昼食も取れず、トマトと卵で空腹をしのいだという。

別の動画では、2人の子供を抱える母親が「もう3、4日も食べていない。子供のミルクを買うお金もない」と泣きながら訴えた。地元の行政機関に助けを求めたものの、「対応できない」と言われたという。

湖南省長沙市では、配達員が電動バイクにまたがったまま、意識を失ったように動かなくなっている姿も撮影された。幸い、その後意識を取り戻したが、ネットには「起きろ、住宅ローンを返さなきゃ」「過労死じゃない。過酷な競争に殺されるんだ」と、笑うに笑えない言葉が並んだ。

また、深圳市では、体を斜めに倒した状態で電動車いすに乗り、料理を配達する障害のある男性の姿も撮影された。周囲の人々が料理の受け取りを手伝い、ネットには「見ていて胸が痛む」との声が寄せられた。

こうした個々の事例だけで、中国の配達員や子育て世帯全体の暮らしを語ることはできない。しかし、そこには厳しい生活の中で、何とか家族を支えようとする人々の姿がある。

誰かの食事を届けるために、自分は昼食を抜く母親。誰かの食事を届けるために、わが子を連れて深夜まで働く親。

中国の街には、いつでも料理を届けてくれる配達員がいる。その配達員自身が、今日の食事にも困っているという現実がある。

 

中国で厳しい生活の中、懸命に働く配達員たち。左は電動車いすに乗る障害のある配達員。中央は雲南省の午前4時の街角で、電動バイクの足元に置かれた配達バッグの中で親の帰りを待ちながら泣く幼い子供。右は体に障害を抱えながら料理を配達する男性。(動画のスクリーンショット)
李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!