中国のDRAMメーカー、長鑫科技(CXMT)が、記憶セルの小型化につながる4F²構造の開発進展を発表した。マイクロンやサムスン電子などの株価が下落するなか、アナリストからは、量産規模や歩留まりが不明な段階で短期的な競争への影響を過大評価すべきではないとの見方が出ている。
中国最大のDRAMメーカー、長鑫科技(長鑫存儲、CXMT)は今週、新たな4F²構造の設計を完成させ、次世代メモリー技術の開発で他社に先行したと発表した。この技術は、トランジスタを縦方向に配置し、データを記憶するセルの面積を小さくするものだ。同社は、トランジスタを横方向に配置する現在主流の6F²構造に比べ、チップを小型化し、同じ面積に記憶できるデータ量を増やせるほか、コストも削減できるとしている。
同社は、この構造を採用したDDR5製品を年末までに投入する方針も示した。企業のサーバーやAIデータセンター向けの製品で、低価格帯の民生機器向けに加え、付加価値の高い分野への進出を目指す。
サムスン電子とSKハイニックスが4F²構造を採用した製品を投入するのは、2028年になると見込まれている。このため市場では、長鑫科技との競争が激しくなり、半導体各社の収益性が低下するとの懸念が広がっている。
DRAMは、パソコンやスマートフォン、サーバーなどに使われ、人工知能(AI)の処理にも欠かせないメモリーだ。この市場は長年、韓国のサムスン電子とSKハイニックス、アメリカのマイクロン・テクノロジーの大手3社が主導してきた。3社の世界シェアは合わせて90%に達する。一方、長鑫科技の今年第2四半期の世界シェアは10%となり、前年同期の4%から拡大したとするデータもある。
こうしたなか、世界の株式市場ではハイテク株の値動きが荒くなり、アメリカのマイクロンや韓国のサムスン電子など、半導体大手の株が売られた。韓国市場では、取引を一時停止するサーキットブレーカーも発動された。こうした動きには、長鑫科技の開発発表が影響したとの見方がある。
「市場は過剰反応」との見方 量産規模と歩留まりは不明
一方、アメリカの投資情報紙インベスターズ・ビジネス・デイリーは10月14日付の記事で、長鑫科技の発表に対する投資家の反応は過剰だとするアナリストの見解を紹介した。量産体制や、製造した製品に占める良品の割合を示す「歩留まり」が明らかでないため、発表だけでは同社の競争力を判断できないという。このため、短期的にマイクロンなど既存のメーカーに大きな脅威を与えるとは考えにくいとしている。
アメリカの証券会社ローゼンブラット・セキュリティーズのアナリスト、ケビン・キャシディ氏は、次のように述べた。
「今回の市場の反応は、短期的な競争上の脅威を過大評価する一方で、DRAM需要の構造的な変化を見落としている」
同氏によると、長鑫科技が新型チップの生産規模を拡大し、歩留まりを改善するまでには、なお時間がかかるという。
「長鑫科技の発表では、製造時の歩留まりやウエハーの生産量が明らかにされていない。新たな構造を採用する場合、生産の初期段階で歩留まりを確保することが大きな課題となる可能性がある。こうした情報が開示されない限り、製品の投入目標を示しただけでは、競争力や量産時の採算性を裏付けたことにはならない」
半導体株売りの背景にAI関連株の過熱懸念も
また、長鑫科技の発表によって市場の勢力図が一変したわけではないと指摘するアナリストもいる。今週、半導体株が売られた主な背景には、AI関連株の過熱感や、資金流入が途絶えることへの懸念があるという見方だ。AI関連株は年初から大幅に上昇しており、競争の激化を示すニュースや悪材料が出ると、利益を確定するための売りが出やすい状況にあったとしている。
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