グリーンランド議会、安全保障協定を審議 米軍の北極圏展開を拡大

2026/10/13
更新: 2026/10/13

グリーンランド議会は10月12日、米国、デンマーク、グリーンランドが締結した安全保障協定について第1読会を開いた。協定は3者が数か月にわたり北極圏の防衛や地域の安全保障について協議した末にまとまったもので、北極圏での連携を強化する内容だ。

ロイター通信によると、議会で多数を占める与党連合の議員はおおむね協定を支持しており、今後の第2読会と採決を経て承認される見通しだ。

3者が9月に署名した協定は、北極圏の防衛体制を強化するとともに、グリーンランドの安全保障上の位置づけを明確にするものだ。

グリーンランド自治政府のムテ・エゲデ外相は、協定を「大きな前進」と評価し、その価値は金額では測れないと述べた。

シウムートのエリック・イェンセン党首も支持を表明した。

「前進党は長年、グリーンランドに関する協定をグリーンランド抜きで決めてはならないと訴えてきた。だからこそ、今回の合意に満足している」と述べた。

与党連合の民主党に所属するヴィヴィアン・モッツフェルト前外相は、グリーンランドが多額の国防費を負担することなく、米国やNATOによる強力な安全保障上の支えを得たと評価した。また、グリーンランドの自治をめぐる国際的な立場も一段と明確になったとの見方を示した。

米軍の活動拡大 新たな軍事拠点も

協定により、米軍によるグリーンランドでの防衛協力は拡大する。

米軍は新たに2か所の軍事拠点を整備する計画で、ミサイル防衛システム「ゴールデン・ドーム」や高性能センサー網の配備も進める。既存のピトゥフィク宇宙基地も大規模に改修する。

また、協定には非NATO加盟国による軍事施設の設置を制限する条項も盛り込まれた。中露などがグリーンランドに軍事拠点を設けることを原則として認めない内容となっている。

一方、協定はデンマーク王国のグリーンランドに対する主権を改めて確認するとともに、グリーンランド住民の自決権も明記した。

グリーンランド自治政府は、安全保障面での支援を受けるだけでなく、グリーンランド自身が当事者として国際的な防衛協議に参加できる点を重視している。

野党は経済的な見返りを疑問視

一方、議会では異論も出た。

野党ナレラクのペレ・ブロベリ党首は、米国に広範な権利を認める一方、グリーンランドへの一定額の経済補償が約束されていないと指摘した。また、協定を実際にどう運用するのかについても、不明確な点が残るとした。

これに対し与党側は、米軍基地の建設や運営、維持に関する事業でグリーンランド企業を優先する仕組みが盛り込まれており、地元企業の受注や雇用拡大につながると説明している。

北極海航路やレアアースなど重要鉱物への関心が高まるなか、グリーンランドの戦略的重要性も増している。

今回の協定は、米国との防衛協力を強化する一方で、グリーンランドの自決権を明記した。議会で多数を占める与党側も支持しており、今後、第2読会と採決が行われる予定だ。

李言