数分の決断 900人超の命救う ネパールの校長が洪水直前に避難指示

2026/09/01
更新: 2026/09/01

わずか数分の判断が、900人余りの生徒の生死を分けた。ネパールで先月26日、トリスリ川流域を襲った大規模な洪水で、学校が濁流にのみ込まれ全壊する直前、校長が休校と生徒の避難を即断した。迅速な対応によって、900人余りの生徒が難を逃れた。校長は地元で「英雄」と称賛されている。

8月26日午前9時すぎ、トリブバン・トリスリ中学校では通常通り授業が行われていた。校長のラジェンドラ・ダワディさんは、同僚から「洪水が来た」との叫び声を聞いた。教員の間にも情報が伝わり、子どもを迎えに来る保護者の姿も見られた。

ダワディさんは状況を確認すると、直ちに休校を決定。学校の鐘を鳴らし、すでに登校していた900人余りの生徒を高台へ避難させた。まだ学校へ向かっていたスクールバスにも電話で連絡し、学校に近づかないよう指示。すでに校内に入っていたバスにも、直ちに引き返すよう命じた。

ダワディさんは当時の判断について、「もし授業を中止して情報が間違っていたとしても、失うのはせいぜい1日分の授業だ。しかし、もし本当なら、失うのは全員の命かもしれない。だから私は直ちに休校を決め、子どもたちを避難させた」と振り返った。

わずか数分の判断が、900人余りの生徒の生死を分けた。ネパールで先月26日、トリスリ川流域を襲った大規模な洪水で、学校が濁流にのみ込まれ全壊する直前、校長が休校と生徒の避難を即断した。迅速な対応によって、900人余りの生徒が難を逃れた。校長は地元で「英雄」と称賛されている(新唐人)

教職員と生徒が次々と高台へ避難した直後、洪水が学校内に流れ込んだ。泥砂や巨石、がれきを含む濁流は校舎を一気にのみ込み、学校は跡形もなく破壊された。教職員2人は避難できず、現在も行方が分かっていない。

洪水はトリスリ川を下流へ猛烈な勢いで流れ下り、住宅や橋、集落などを次々と押し流した。

ダワディさんは、高台へ避難した後に振り返った際の光景について、「学校全体がすでに流されていた。私はその場に座り込み、一言も話すことができなかった。あの学校には深い思い入れがあったから」と語った。

迅速な判断によって命を救われた生徒や保護者からは、感謝の声が相次いだ。災害後、多くの保護者がダワディさんを見つけると、抱き締めながら涙を流し、子どもたちを救ったことへの感謝を伝えたという。

生徒のタマンさんは、記者から「校長のダワディさんのおかげで助かったのですか」と問われ、「はい」と答えた。「校長先生に感謝を伝えましたか」との質問には、「まだです。でも、会えたら必ずありがとうと伝えます」と語った。

一方、周囲から「英雄」と呼ばれるようになったことについて、ダワディさんは「自分は校長として当然のことをしただけだ」と語り、謙虚な姿勢を示している。

現在、ダワディさんが最も願っているのは、学校の一日も早い再建だという。再び子どもたちが教室に戻り、日常の学校生活を取り戻せる日を待ち望んでいる。

新唐人