長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典が9日、長崎市で開かれた。台湾の李逸洋駐日代表は、長崎市が台湾代表の座席を各国の外交使節団が座る区域の外に配置したことについて、「台湾を矮小化するものだ」と批判し、式典への出席を見送った。
李氏は長崎市が中国共産党に追随し、台湾を貶めているとして遺憾の意を表明した。全日本台湾連合会(全台連)も長崎市に抗議し、今回の座席配置が中共側の圧力を受けたものではないかと疑問を呈した。
台湾の駐日代表処によると、李氏と2人の副代表、蔡明耀氏、周學佑氏はいずれも式典を欠席し、台北駐福岡経済文化弁事処の陳銘俊処長が代表として出席した。
李氏は、長崎市が台湾代表の座席を外交使節団区域の外に配置したことについて、「台湾の国格と国家としての地位を意図的に低く扱うものだ」と指摘。その上で、台湾側は出席の格を下げ、陳処長を代理出席させることを決めたと説明した。
長崎市の対応に対して「厳重に抗議し、強く非難する」と表明した。
李氏はまた、中共が核兵器を大幅に増強し、それによって世界の平和を脅かしていると指摘。同時に、インド太平洋地域で軍事演習を繰り返し、対立を引き起こしているとして「地域の平和を最も大きく破壊している存在だ」と批判した。
長崎の平和祈念式典が掲げる「核兵器廃絶」と「平和の追求」という理念について、李氏は「この2つの理念が批判の対象とすべきなのは、まさに中共だ」と強調。その上で、「長崎市が中共に追随し、日本と友好関係にあり、平和を追求する台湾を貶めていることは、遺憾であり失望している」と述べた。
これに対し長崎市は、台湾代表の座席は昨年と同じ「海外席」に配置したものであり、「格下げの意図はない」と説明した。
インド太平洋戦略シンクタンク執行長の矢板明夫氏は9日、フェイスブックに投稿し「非常に残念なことが起きた」と指摘した。李氏が長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典を欠席した理由について、長崎市が台湾代表を外交使節団区域に配置することを拒否したためだと説明した。
矢板氏は、長崎は中国との長い交流の歴史を持ち、日本の地方都市の中でも中国に友好的な都市の一つだと指摘した。一方、原爆による悲惨な記憶を背景に、長崎は長年にわたり「反核、反戦、平和」の旗を掲げてきたと述べた。
こうした伝統そのものは尊重されるべきだとしながらも、矢板氏は問題点を指摘した。長崎は日米の防衛政策には極めて敏感に反応する一方、中共が核戦力を増強し、台湾海峡で軍事演習を繰り返し、台湾や日本の安全を武力で脅かしていることについては、ほとんど反対の声が上がっていないとした。
矢板氏は、長崎の平和祈念式典が「核兵器廃絶、平和の追求」を訴えていることに触れ、「現在、東アジアで核戦力を拡大し、頻繁に軍事演習を行い、台湾を武力で脅かしているのは、まさに中共だ」と主張した。その上で、李氏が式典への出席を拒否した判断を支持し、長崎市が台湾を尊重せず、北京に迎合するような対応を取ったことに「最も強い抗議」を表明した。
中央通信社(中央社)によると、全日本台湾連合会は長崎市の鈴木史朗市長宛てに抗議声明を発表した。
声明は、台湾が自由と民主主義を尊重し、長崎が掲げる核兵器廃絶と恒久平和の理念を日本と共有しており、日本にとって重要な友好パートナーだと強調。その上で、平和祈念式典において台湾代表を不当に差別的に扱うことは、式典の平和祈念という趣旨に反するだけでなく、台湾の存在と尊厳を軽視するものだと指摘した。
全台連はさらに、今回の座席配置が、中共が台湾を国際社会から排除しようとしている政治的圧力と関係しているのではないかと疑問を呈した。
長崎市が中共の意向を推し量り、あるいは中共側から圧力を受けた結果、台湾代表への待遇を変更したのであれば、問題は地方政府による単純な外交上の判断を超えると指摘。長崎市自体が、中共による台湾への国際的な圧力を助長することになると批判した。
全台連は長崎市に対し、今回、台湾代表の座席を配置した具体的な理由と、その決定過程を公開するよう要求した。その上で、中共の政治的圧力に屈することなく、公平、尊重、民主主義の原則に基づき、台湾を含むすべての出席者を平等に扱うよう求めた。
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