G7財務相会議 中東リスクと中国不均衡で結束 パリで共同声明採択

2026/05/20
更新: 2026/05/20

フランス・パリで5月19日開催されたG7財務大臣・中央銀行総裁会議は、世界経済の多角的なリスクへの結束した対応を盛り込んだ共同声明(コミュニケ)を採択して閉幕した。

片山財務大臣は会議終了後の記者会見で、中東情勢を受けた金融市場の変動や、中国による「経済的不均衡」への対抗、先端AIのサイバーリスクといった重要課題について、G7が具体的な行動段階に移ることで一致したと強調した。

世界経済と市場のボラティリティへの対応について、G7は中東情勢の悪化がインフレ懸念や金融市場のボラティリティを招いている現状に警戒感を示した。

片山大臣は、現在の市場には「投機的な動き」が見られると指摘し、原油価格の変動が為替や国債金利に波及している状況を注視していると述べた。為替対応について大臣は、足元の円安水準(1ドル159円台)を念頭に、「必要に応じていつでも適切に対応する」との断固たる姿勢を改めて示した。国内対策については、中東情勢等のリスクを最小化するため、岸田総理から「補正予算の編成を含めた資金の手当てを検討するように」との明確な指示を事前に受けていたことを明かした。

世界経済の不均衡(グローバル・インバランス)を巡っては、会議で中国への対応について「大変白熱した議論」が行われた。「自国に責任はない」と主張する中国に対し、IMFやOECDといった国際機関の客観的データを用いて反論し、構造改革を迫っていくことでG7のコンセンサスが得られた。片山大臣は「もうそろそろ行動の時である」と各国に呼びかけ、強い賛同を得たと述べた。

ウクライナ支援とロシアへの圧力継続について、G7はロシアによる侵略を強く非難し、ウクライナへの「揺るぎない支援」を再確認した。ロシアの主権資産は賠償が支払われるまで凍結を維持し、収益加速(ERA)ローンメカニズムによる支援を継続する。

ロシアの攻撃による核安全保障のリスクに対処するため、チョルノービリ原子力発電所の「新安全閉じ込め構造物」の緊急修復に少なくとも5億ユーロを動員する取り組みも盛り込まれた。

急速に進化する「フロンティアAIモデル」が金融システムにもたらす脆弱性への対応が、新たな重要項目として浮上した。

片山大臣は、Anthropic社の「Mythos」、OpenAIの「バージョン6」、Googleの「Gemini」といった先端AIが悪用されるリスクに触れ、迅速なパッチ適用や情報共有の重要性を指摘した。サイバー攻撃に対し、G7が団結して協調対応をとるため、6月の首脳会議(エビアン・サミット)までに具体的な対策をまとめる方針で一致した。

重要鉱物のサプライチェーン強靭化を巡っては、中国による輸出管理措置や非市場的政策に対し、G7として一致して懸念を表明した。日本が提唱したサプライチェーン強靭化枠組み「RISE」を強化し、「ライズ(RISE)プラス」という新たな基金を創設して公的金融支援を後押しする方針が示された。

暗号資産と金融犯罪対策については、テロ資金供与や北朝鮮による暗号資産の窃取といった深刻な脅威に対し、対策を強化することで一致した。G7がFATF(金融活動作業部会)の議論を牽引し、国際的な規制を主導していくべきだという片山大臣の主張が反映された。

今回の会議は、1か月後に控えるエビアン・サミットに向けた土台作りとなった。片山大臣は、「認識はほぼ揃った」とした上で、首脳レベルでより具体的かつ分かりやすいメッセージを打ち出していく考えを示した。

エポックタイムズの記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。他メディアが報道しない重要な情報を伝えます