自衛隊は6日、米国・オーストラリア・フィリピン軍との連合海上演習において88式艦対艦誘導弾を発射し、目標に命中させた。日本がフィリピン領土に陸上発射型対艦ミサイル・システムを展開したのは今回が初めてとなる。
演習は第41回「バリカタン」連合軍事演習の重要な一環をなすもので、フィリピン・イロコスノルテ州パオアイ砂丘における日本の88式地対艦誘導弾システムの実証展示が主眼となった。同装備は沿岸防衛と海上脅威への抑止を目的に設計されたものだ。
演習の主たる打撃目標はフィリピン海軍の退役艦「BRPケソン」(PS-20)で、連合軍は複数のミサイル・システムと航空戦力を運用し、パオアイ北西沖でこれを撃沈することに成功した。
フィリピン軍によれば、演習では88式誘導弾が2斉射にわたって発射され、発射から6分後にパオアイ海岸から約75キロ(46.6マイル)沖の目標に命中した。当該海域は主権争いが激しい南シナ海に面している。
日比協定が実を結ぶ、防衛協力が深化
今回の演習は、日本が先日、軍事輸出規制を撤廃したことを受けて、日比両国が潜在的な防衛装備品移転に向けた交渉を進めるなかで実施された。小泉進次郎防衛大臣は、あぶくま型護衛艦およびTC-90練習機のフィリピン軍(AFP)への移転について協議中であることを明らかにした。
演習の円滑な実施を支えた決定的な要因は、昨年9月に両国間で正式に発効した「相互アクセス協定」(RAA)であり、これにより相手国領土への部隊進入手続きが大幅に簡素化された。小泉防衛相はRAAが演習の「質と量」を大きく向上させたと指摘し、日本の今年の参加人員は昨年の140人から約10倍の約1400人に急増したと述べた。
小泉防衛相は「相互アクセス協定を活用することで、重装備をフィリピンに持ち込み、これまで実現できなかったハイレベルな訓練に参加することが可能になった」と強調した。
ギルベルト・テオドロ国防長官と小泉防衛相は現地で実射を直接視察した。一方、フェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領はマニラの軍司令部からビデオ中継で全経過を監視した。
フィリピン大統領府の声明は、今次演習が同盟軍の協調した海上打撃能力を示すとともに、フィリピンが国際パートナーと連携して地域の安全と航行の自由を推進していく決意を浮き彫りにしたと述べた。
域内拡張への対抗、演習の規模が拡大
中共による地域的拡張と台湾への継続的な威圧行為を踏まえ、テオドロ国防長官は演習の実施時期が極めて重要だと強調した。5月2日には米比部隊が台湾に近いバタネス州にも「NMESIS」艦対艦誘導弾を展開した。
今年の「バリカタン」演習は過去最大規模となり、参加人員は1万7千人を超えた。日米比豪に加え、カナダ・フランス・ニュージーランドも初めて正式参加国として加わり、フィリピンの安全保障協力ネットワークが顕著に拡大していることを示した。
中国共産党(中共)政府はこれに強く反発している。中共外務省の林剣報道官は、日本が安全保障協力を名目に海外で攻撃型ミサイルを発射するため軍を派遣していると非難した。
テオドロ国防長官は「初めてこの任務を完遂した」ことを祝うとともに、「今後、規模はさらに拡大し、より多くのパートナーが加わっていくだろう」と述べた。
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