政府 「ゲノム編集ベビー」規制法案を閣議決定

2026/04/10
更新: 2026/04/10

政府は4月10日、ゲノム編集技術で遺伝情報を書き換えたヒトの受精卵や生殖細胞を子宮に移植することを禁止する法案を閣議決定した。この法案は、生殖目的で改変した胚を用いた「ゲノム編集ベビー」の誕生につながる行為を法的に規制するもの。成立すれば、国内で罰則付きの法的規制が設けられるのは初めてとなる。

法案では、改変されたヒト受精卵や生殖細胞を人や動物の子宮に移植した場合、10年以下の拘禁刑、または1千万円以下の罰金、あるいはその両方を科すとしている。これにより、これまで指針にとどまっていたルールから、違反行為に明確な制裁を伴う法的枠組みへと格上げされる。

また、ゲノム編集が行われた受精卵を取り扱う研究や教育、保存などを行う場合、事前に実施計画書を作成し、厚生労働相への届け出を義務付ける規定も盛り込まれており、研究の透明性とモニタリング体制を強化する狙いがある。

上野賢一郎厚生労働相は、閣議後の記者会見で、「ゲノム編集技術の安全性や倫理的課題について国民の関心が高まっており、今回の法案はそうした不安に応えるものだ」と述べたうえで、「今後本国会において速やかに審議をいただき、早期に成立させたい」と語った。

政府は、2010年代から運用されてきた研究指針を踏まえつつ、新たな法制度を通じて、基礎研究の健全な発展を維持しつつも、医療現場での臨床応用を厳格に制限するバランスを取る方針を示している。

背景として、米欧などでは、ゲノム編集により遺伝子を生殖目的で改変したヒト受精卵を子宮に移植し、「ゲノム編集ベビー」の誕生につながる行為を禁止している。欧州などは、違反に罰金や懲役を科す制度を整備しており、アメリカも連邦資金を用いた生殖目的のヒト胚遺伝子改変を事実上禁止し、ゲノム編集胚の子宮移植を含む臨床応用を認めない方針を維持している。

一方、日本ではこれまで、研究レベルの指針によって受精卵へゲノム編集を施した胚を子宮に移植することを禁止してきたものの、医学的な臨床応用を直接的に縛る法規制は存在しておらず、国際的な規制環境との間にギャップが指摘されていた。

エポックタイムズ記者。日本の外交をはじめ、国内外の時事問題を中心に執筆しています。