中国共産党の公式メディア新華社は3日、政治局委員の馬興瑞が重大な規律違反および違法行為の疑いで調査を受けていると発表した。これにより同氏は事実上、失脚したと見られる。
馬興瑞は習近平党首の側近とみられ、広東省および新疆ウイグル自治区のトップを歴任した。本期の共産党指導部において、失脚した政治局委員はこれで3人目となる。分析では、本件は航空宇宙系統の整粛および派閥間の権力闘争に関係し、さらに現職の政治局常務委員にまで波及する可能性があると指摘している。中共政府の指導部内部の混乱は拡大を続け、政局は文化大革命以降で最も不安定な局面にあるとされる。
馬興瑞の失脚をめぐるうわさは、すでに約半年にわたり流布していた。馬興瑞が最後に公の場に姿を見せたのは2025年10月の第4回中央委員会全体会議であり、その後は消息を絶っていた。正式発表までに約半年を要したことは、中南海(中共の権力中枢)内部で激しい権力闘争が行われているとの見方を一層強めている。
馬興瑞は「航空宇宙系」に属し、中国航天科技集団の総経理を務めた経歴を持つ。評論では、同氏の失脚はロケット軍の整粛の影響を受けたものと分析されている。馬興瑞は彭麗媛の側近ともみられていたが、軍事と政治の双方における粛清圧力の下で、習近平党首は最終的に切り離しを余儀なくされたとされる。
時政評論家の沈明室氏は、「一つは習近平がもはや覆い隠せなくなり、馬興瑞の問題を処理せざるを得なかった可能性だ。もう一つは反習派がこの調査を利用して威嚇し、習近平を狙った可能性である」と述べた。
本件の焦点は馬興瑞個人にとどまらず、広東在任時に形成された人脈ネットワークにも及ぶ。現在、政治局常務委員の李希および全国政協副主席の胡春華に関与が及ぶとの見方もあるが、時事評論家の唐靖遠氏はこれを否定的にみている。
唐靖遠氏は「今回の調査は中央紀律検査委員会が直接主導しているものであり、李希は主要な担当者であることを意味する。すでに李希は馬興瑞と切り離しを図ったとみるべきだ」と指摘した。
また「馬興瑞と胡春華に関連があるとの見方は根拠がない。胡春華は馬興瑞とは異なる派閥に属し、共青団(中国共産主義青年団)系の後継候補として習近平から警戒されてきた人物である。仮に広東時代に経済問題で関与があったなら、胡春華はすでに失脚しているはずであり、現在まで地位を維持していることは説明がつかない」と述べた。
統計によると、第20回党大会で選出された中央委員のうち、これまでに約70人が粛清され、全体の約18%に達している。これは文化大革命終結以降で最も高い割合である。24人で構成される政治局においても、何衛東、張又俠、馬興瑞の3人が相次いで失脚している。
沈明室氏は、技術官僚の代表とされた馬興瑞の失脚は、習近平が依拠してきた「軍工主導型統治モデル」の破綻を象徴するものだと指摘した。
政治局委員の失脚が常態化する中で、中国共産党の官僚体系における忠誠心にも深刻な影響が及ぶとみられる。

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