中国 本来は縁起物 でも描かれたのは机に向かう「疲れた馬」

中国で共感広がる 馬年ポスターに「働く人間」

2026/02/14
更新: 2026/02/14

ことしは「馬年」である。

本来、馬は勢いよく走る姿から「成功」や「飛躍」を象徴する縁起の良い動物とされてきた。

中国には「八駿図(はちしゅんず)」と呼ばれる有名な絵がある。八頭の名馬が力強く駆ける様子を描いたもので、商売繁盛や出世を願う定番の縁起物である。

ところが、中国のある都市の交差点に掲げられた巨大な「八駿図」ポスターには、なぜか一頭だけ様子の異なる馬が混ざっていた。

机に向かい、パソコンに向かうスーツ姿の人間である。中国語で「牛馬(ニウマー)」と呼ばれる存在だ。

「牛馬」はもともと家畜を指す言葉だが、いまの中国では「会社にこき使われる人」「文句も言わず働き続ける人」を自虐的に指す俗語として広く使われている。

つまり、自分たちを「家畜のように働く存在」と重ね合わせた、かなり率直な風刺である。

この「働く牛馬」は瞬く間に拡散し、
「今年いちばんリアル」
「結局みんな牛馬」
といった共感の声がネット上に広がった。

さらに注目を集めているのが、今年の干支にちなんだマスコットである。

中国で爆発的に売れている「泣いている馬(哭哭馬)」のぬいぐるみ(映像より)

にっこり笑う表情ではなく、口をへの字に曲げた「泣き顔」。

中国では「哭哭馬(クークーマー)」と呼ばれ、「まさに今の自分」と、共感する若者の間で人気を集めている。

本来、干支は未来への希望を託す存在である。しかし、今年の馬は「疲れ顔」。

走る馬よりも、泣いている馬のほうが共感を呼ぶのである。

笑い話のようでありながら、どこか切なさを感じさせる。

その表情は、いまの中国社会の空気を象徴している。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!