ことしは「馬年」である。
本来、馬は勢いよく走る姿から「成功」や「飛躍」を象徴する縁起の良い動物とされてきた。
中国には「八駿図(はちしゅんず)」と呼ばれる有名な絵がある。八頭の名馬が力強く駆ける様子を描いたもので、商売繁盛や出世を願う定番の縁起物である。
ところが、中国のある都市の交差点に掲げられた巨大な「八駿図」ポスターには、なぜか一頭だけ様子の異なる馬が混ざっていた。
机に向かい、パソコンに向かうスーツ姿の人間である。中国語で「牛馬(ニウマー)」と呼ばれる存在だ。
「牛馬」はもともと家畜を指す言葉だが、いまの中国では「会社にこき使われる人」「文句も言わず働き続ける人」を自虐的に指す俗語として広く使われている。
つまり、自分たちを「家畜のように働く存在」と重ね合わせた、かなり率直な風刺である。
この「働く牛馬」は瞬く間に拡散し、
「今年いちばんリアル」
「結局みんな牛馬」
といった共感の声がネット上に広がった。
さらに注目を集めているのが、今年の干支にちなんだマスコットである。

にっこり笑う表情ではなく、口をへの字に曲げた「泣き顔」。
中国では「哭哭馬(クークーマー)」と呼ばれ、「まさに今の自分」と、共感する若者の間で人気を集めている。
本来、干支は未来への希望を託す存在である。しかし、今年の馬は「疲れ顔」。
走る馬よりも、泣いている馬のほうが共感を呼ぶのである。
笑い話のようでありながら、どこか切なさを感じさせる。
その表情は、いまの中国社会の空気を象徴している。
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