中国 笑えない恒例行事

ことしも「トラ」が村を徘徊=中国・黒竜江省

2026/02/14
更新: 2026/02/14

日本では、ときどきクマが住宅地に出没し、ニュースになる。だが中国東北部では事情が違う。出てくるのはクマではない。トラである。しかも毎年のように村を散歩する。笑い話にしたいが、まったく笑えない。

家の前まで来て中をのぞき込む体長2メートル超の野生トラ。遭遇した瞬間、全身の血の気が一気に引く。これはもう、日常に紛れ込んだ悪夢だ。

2月5日、黒竜江省穆稜市(もくりょう-し)の農村で、防犯カメラに野生のトラが村の道路を歩く様子が映っていた。

トラは民家の玄関前まで近づき、明かりのついた室内をしばらくのぞき込んだあと、立ち去ったという。幸い、このときはけが人は出なかった。

トラ出没の緊急事態を受け、地元当局は住民に警戒を呼びかけるとともに、発見時は追い払わず村へ連絡するよう指示した。

中国のネット上では不安の声が相次いだ。

「山に食べ物がなくなった証拠だ」

「人に敵意を向けられたら、もう防ぎようがない」

実際、中国東北部では近年、トラが村に入り、人や家畜が被害を受ける事例が後を絶たない。過去には村人が襲われ負傷したり、牛がかみ殺されるケースも報告されている。

背景にあると指摘されているのが、森林の乱伐や密猟による生態系の崩れだ。山の中で獲物が減り、飢えたトラが人間の生活圏へと押し出されている。

野生動物の異常行動は、自然の問題にとどまらない。人の暮らしのすぐ隣まで迫った危険は、環境破壊の結果がそのまま跳ね返ってきている現実を静かに突きつけている。

李凌
中国出身で、日本に帰化したエポックタイムズ記者。中国関連報道を担当。大学で経済学を専攻し、中国社会・経済・人権問題を中心に取材・執筆を行う。真実と伝統を大切に、中国の真実の姿を、ありのままに、わかりやすく伝えます!