世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求の即時の控訴審において、東京高裁が来月3月4日に決定を出す方針を固めたことが判明した。2025年3月に東京地裁が教団の解散を命じてから約1年、審理は非公開のまま進められてきたが、昨年11月に双方が最終的な主張を提出し、手続きは終結している。
一方で、日本政府による一連の解散請求手続きについては、国連の特別報告者や国際的な人権団体が、信教の自由に対する重大な侵害に当たると懸念を表明している。
審理終結までの経緯 非公開の攻防と最終主張
文部科学省による解散命令請求を受け、東京地裁は2025年3月25日、民法上の不法行為を根拠として教団に解散を命じる決定を下した。これに対し教団側は、信教の自由の侵害に当たるとして即時に控訴し、審理は東京高裁に移った。
高裁での審理は、解散命令請求が非訟事件に該当するため、すべて非公開で行われた。2025年11月21日、教団側と国側の双方が最終主張書面を提出し、審理は終結した。
国側は、2009年のコンプライアンス宣言後も違法な献金勧誘が続いているとして、地裁の解散命令は妥当であると主張している。
教団側は、東京地裁による解散命令決定に対し「信教の自由の侵害であり、到底受け入れられない」と反発している。
教団側は「公共の福祉」や「社会的相当性」といった曖昧な概念を根拠に解散を命じることは、憲法および国際人権規約(ICCPR)に違反すると訴え、また2009年のコンプライアンス宣言以降は法令順守を徹底しているほか、被害者との和解や新たな補償検討委員会の設置など、「問題解決に向けた不断の努力」を継続しているため、解散命令は必要ないと反論している。あわせて、教団解散に対する信者の不安を訴える証人尋問も実施されたという。
高裁が地裁決定を支持した場合、解散命令の効力が直ちに生じ、教団は法人格を失うことになる。
国際社会からの警鐘 日本政府の「国連無視」が焦点に
国内手続きが進む一方で、この解散命令請求は国際的な人権問題として懸念を招いている。国連の人権専門家や欧米の有識者は、日本政府の手法が国際的な人権規範、とりわけ「市民的及び政治的権利に関する国際規約(ICCPR)」との整合性を欠く可能性を指摘している。
焦点となっているのは、日本政府が解散請求の根拠としている「公共の福祉」や「社会的相当性」といった概念の位置付けである。
1.国連特別報告者による懸念表明
2024年4月30日、国連の信教の自由に関する特別報告者ら4名は、日本政府に公式書簡を送付した。書簡では、解散請求や関連ガイドラインにおいて「社会通念」や「社会的相当性」といった概念が宗教活動の制限根拠としている点について、法的明確性の観点で懸念を示した。これらの概念が少数派宗教への恣意的な制限につながるおそれがあるとも指摘している。
2.「公共の福祉」による制限への指摘
文部科学省は、宗教法人法第81条の「著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為」を解散請求の根拠としている。一方、ICCPR第18条3項は、信教の自由に対する制限事由を「公共の安全、秩序、健康、道徳、他者の基本的権利」に限定している。
国連の自由権規約委員会は2014年の対日審査において、「公共の福祉」という概念の曖昧さについて言及し、信教の自由を制限する際の慎重な運用を求めていた経緯がある。
3.専門家からの見解
フランスの国際人権弁護士パトリシア・デュバル氏は、東京高裁および最高裁に提出した意見書で、民事不法行為の判断枠組みが国際法上の制限事由と整合するかについて問題提起を行った。元EU信教の自由特使ヤン・フィゲル氏も、国際規約との関係性について懸念を示している。
判断が持つ意味合い
東京高裁が3月4日に示す判断は、宗教法人の存続問題にとどまらず、日本の法制度と国際人権規範との関係性をめぐる議論にも影響を与える。
教団側は、高裁決定が維持された場合には最高裁で争うことができる。もっとも、高裁決定により法人格を直ちに失う可能性があることから、今回の判断は重要な節目となる見通しだ。
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