張又侠拘束で文武百官が「沈黙のボイコット」開始

2026/02/04
更新: 2026/02/04

中国共産党(中共)の軍内部で、習近平氏が主導する軍事委員会の指示に武官が従わない動きを見せている。これに呼応するように、文官による行政システムも消極的な対応を取り始めた。その結果、一部の行政命令がスムーズに伝達・実行されない事態に陥っていることが、内部事情に詳しい関係者の証言で判明した。複数の消息筋は、このような軍事指揮権の機能不全は今回が初めてではないと指摘し、江沢民時代の中南海における法輪功の陳情事件の際、軍の指揮が滞った内情を振り返った。

最近、中共軍内では政治的な粛清と忠誠心の強制的な植え付けが強化されている。中共の内部事情に詳しい馮氏は、習近平による張又侠と劉振立の処分は軍に巨大な動揺を与えたが、中共自体への衝撃はより深刻であると述べる。この影響により、習近平が「一人の中央軍事委員会」方式で行使してきた指揮権の難易度が明らかに上昇しており、軍内部の権力構造が実質的な変化を遂げつつあるという。

馮氏によれば、長年にわたり専門能力よりも政治的忠誠を優先し、実務派の軍事力を排除し続けてきた制度的な弊害が、今まさに噴出している。先日昇進したばかりの張昇民・軍委副主席は、五大戦区および各兵種に対し「中央軍委の統一指揮を断固支持する」との声明を出すよう求めたが、実際の進展は非常に限定的だ。

「一人軍委」の行き詰まり 指揮権が機能不全に

馮氏は、現場の生々しい状況を次のように語った。 「現在、上層部が『統一指揮』という言葉を口にするだけで、現場からは猛烈な反発が起きる。武官が非協力的なだけでなく、文官までもが沈黙を貫いている。文武双方が支持を表明しないため、事態は非常に険悪なものとなった。軍事委員会は各戦区に担当者を派遣し、自ら現場に乗り込んで支持表明を繰り返し説得しているが、末端の部隊からはほとんど反応がないのが実情だ」

馮氏によれば、習近平氏を中心とする統治危機は、もはや軍の内部だけにとどまらない。軍が見せる「消極的な抵抗」や「非協力的な姿勢」が役人たちの行政システムにも波及している。その結果、中国共産党という組織全体の運営能力が低下し続けており、国を動かす機能そのものが弱体化しているという。

大陸の消息筋によれば、現在の北京情勢はきわめて「複雑」だ。立件された張又侠と劉振立の処遇は依然として不透明だが、両名とも当局の取り調べに対して非協力的な態度を貫いているという。この「トップの不服従」はすでに末端部隊にも察知されており、軍全体の空気に影響を与えている。もし軍の「習核心」に対する拒絶反応がこのまま続けば、それは行政官僚らの服従ルートをも直撃し、統治システム全体の秩序を崩壊させるだろう。これは現行の権力構造に対する、実質的な「反旗」にほかならない。

複数の軍事分析家も、最近の軍内に漂っているのは単純な不安ではなく、明らかな「焦燥感」と「静観」の空気であると注目している。ある分析によれば、この状態は一般的な動揺ではなく、権力構造が緩んだことによる系統的な停滞に近い。習近平の主観的な意図がどうあれ、現実的には軍を効率的に指揮できる力としての機能が低下している。

北京の憲政学者である労氏は、現在の軍の問題は偶発的なものではなく、中共が長年「政治的な手段」で軍への統制を強行してきた必然の結果であると指摘する。軍内で圧倒的な威信と実務経験を持つ張又侠(ちょう・ゆうきょう)が排除されたことで、「党が銃を指揮する」という原則は、実効性のある統制システムとしての機能を失った。今やそれは、単なるスローガンや宣伝文句にすぎない「形骸化した物語」へと変質しつつある。

容疑の性質が1週間で激変

張又侠氏を巡る容疑は、わずか1週間で劇的な変化を遂げている。 1月24日の時点では、当局メディアは張氏らを「軍委主席責任制を破壊し、党の軍に対する絶対的な指導を危うくした」と厳しく批判していた。これは「反逆」にも等しい最高レベルの政治的告発である。 しかし、わずか1週間後、それらの激しい表現は消え、罪状は「汚職問題」へと急速にすり替えられた。このように、短期間で「政治路線の対立」から「単なる汚職事件」へと扱いが格下げされるのは、中共の政治工作において極めて異例の事態である。

同氏は、中央軍委の機関紙が引用する表現が1週間で変化したこと自体、権力の行使が行き詰まっている重要な信号だとしている。1月31日付の『解放軍報』の評論記事では「全軍の将兵は党中央の決定を擁護『しなければならない(要)』」と記されたが、この「要」という言葉は、中共の同種の政治文書ではあまり見られない表現だ。

労氏は、毛沢東時代から現在に至るまで、政治路線に関わる告発がこれほど短期間で経済的または汚職の問題へと格下げされた先例は見たことがないと語る。

軍の内部では沈黙が続いており、中央軍事委員会の権威が形骸化しているとの分析がある。 かつての『解放軍報』は、「断固として守る」「断固として実行する」といった、組織の団結が完了していることを示す表現を多用していた。しかし最近では、「~しなければならない(要)」という、いわば「督促」の言葉が目立つようになっている。 これは、習近平への忠誠が現場に浸透しておらず、繰り返し命じなければならないほど軍の統制が緩んでいる現状の裏返しだ。このため、張又侠の処遇をどう決着させるかは、習政権にとって進むも退くもできない極めて困難な難題となっている。

匿名を条件に取材に応じたある戦区の宣伝担当官も、同様の見解を示している。軍報の文言の変化は技術的な調整ではなく、上層部がジレンマに陥っていることの直接的な反映であるという。「『命令への服従』や『擁護』を権威あるテキストに繰り返し書き込まねばならない事態は、軍内に自発的な合意が形成されていないことを意味する」と彼は語る。

同氏はさらに踏み込んでこう指摘する。 「私たちは内情を知っている。軍の公式メディアが苦し紛れの表現を使い始めたのは、この1週間、軍全体が沈黙を貫き、自発的な支持表明を一切行わなかったからだ。つまり、この文言の変化は、中央軍事委員会の権威が現場レベルで『意図的に無視されている』という現実を裏付けているのだ」

分析によれば、習近平による張又侠の拘束は、中共軍と上層部の間に長年存在しつつも隠蔽されてきた深い亀裂を露呈させた。それは、政治権力によって任命された中央軍委主席と、数十年におよぶ実戦と軍務を経て昇進してきた職業軍人との間に横たわる、威信と統率力の根本的な差である。

江沢民の元側近に近い人物によれば、1999年4月の法輪功学員による中南海陳情事件の後、江沢民はある軍委会議でこう漏らしたという。軍委主席として自ら軍を都市部へ動員しようとしたが、指令が実行されず、その場で軍の実権を握っていた張万年・軍委副主席に対し「指示への協力が足りない」と批判した。この詳細は当時厳重に封印されたが、軍の上層部内では公然の秘密であったという。

北京の分析家は、中共が現在、軍への表面的な統制を完全に失ったわけではないが、その統制は急速に「空洞化」していると見ている。軍は形式的には命令に従うものの、最高層のリスクや責任を肩代わりすることには消極的であり、遅延、回避、沈黙を選択する場面が増えている。中共にとって、これは「党が銃を指揮する」という原則が現実味を失い、政治スローガンだけが残る状態を意味する。最高層が重大なリスクを伴う決断を下そうとした際、この表面的な服従は一気に崩壊し、内部での停滞や執行の麻痺を招き、体制全体をより深刻な不安定化へと突き落とす可能性がある。

岳緣