金メダリストが告発した中国スポーツ界の不正 賞金強要と権力乱用

2026/01/14
更新: 2026/01/14

2023年のアジア大会で金メダル3個を獲得した中国代表の王莉選手が、中国西南部・雲南省松茂にあるスポーツ訓練施設トップの範継文氏による不正行為を実名で告発し、波紋が広がっている。

王選手は先月、賞金の不当要求を受けたと訴えたのに続き、今月に入り、範氏による不道徳行為や権力乱用の実態を改めて明らかにした。

中国カヌー代表チームの王莉選手は動画を通じ、「私は王莉だ。2023年アジア大会のドラゴンボート競技に中国代表として出場し、3つの金メダルを獲得した」と語り、「栄光が将来を切り開いてくれると信じていたが、待っていたのは悪夢だった」と語った。

王選手によると、範氏は大会で獲得した賞金15万元(約300万円)を強引に要求。これを拒否したところ、練習への参加を禁じられたうえ、虚偽の「負傷報告」を作成され、「引退申請」資料として上層部に提出されたという。これにより、競技生活を事実上断たれたと訴えている。

さらに王選手は1月9日、再び動画を投稿し、自ら調査チームに告発資料を直接提出したことを明らかにした。

資料には、範氏が複数の女子選手に対してわいせつ行為を行った疑い、ケガを偽装した強制引退、ひざまずかせる体罰、妻による「架空給与」の不正取得、賞金の搾取などが含まれているという。

元北京の弁護士、頼建平氏は「王莉選手の告発内容は、中国では決して珍しいものではない。権力が制約や監督を受けない独裁体制が生み出した必然的な結果であり、すでに常態化している現象だ」と指摘する。

王選手はまた、範氏から「農村出身のお前たちに飯を食わせているのは俺だ。給料を出しているのも俺だ。だから、いつでもそれを取り上げることができる」と脅迫を受けていたとも証言した。

世論の関心が高まる中、雲南省体育局は1月10日夜に通報を発表し、「王莉選手の告発内容は事実であり、範氏を職務から解任し、立件調査を開始した」と明らかにした。

しかし、頼建平氏は当局の対応について、「犯罪容疑者の氏名すら公表しないのは極めて不自然だ。世論の圧力に押され、やむなく軽い処分で幕引きを図ろうとしているに過ぎない」と厳しく批判している。