片山財務相は閣議後の記者会見において、1月11日から14日にかけて米国を訪問し、重要鉱物(クリティカル・ミネラル)に関する財務相会合に出席することを明らかにした。中国による資源の輸出管理強化を受け、欧米諸国がサプライチェーンから中国リスクを排除しようとする動きが加速する中、日本もG7(主要7か国)と連携し、経済安全保障の強化に乗り出す構えだ。
今回の訪米の背景には、中国によるレアアースや軍民両用品(デュアルユース品目)の輸出規制強化がある。中国政府は安全保障を理由に管理を厳格化しており、これに対し片山大臣は会見で「世界経済にとって危機的であり、経済安全保障上も極めて問題」と強い懸念を表明した。
G7諸国は、中国が非市場的な手段で資源を独占し、それを外交的な「武器(エコノミック・コーション)」として利用しているとの認識で一致している。米国や欧州は、電気自動車(EV)や半導体などに不可欠な重要鉱物の供給を中国に依存するリスク(チャイナリスク)を深刻視しており、調達先の多角化を急いでいる。
加速する欧米の「サプライチェーン分断」
ジェトロによると、米国は第2次トランプ政権下での「米国第一」の通商政策により、対中関税の引き上げや投資規制が強化され。これにより、スマートフォンやノートPCなどの輸入元が中国からインドやベトナムへと急速にシフトしており、調達網の再編が進んでいる。
EUもまた、過度な対外依存(実質的には対中依存)の低減を目指す「経済安全保障戦略」を推進しており、重要原材料法などを通じて域内調達や多角化を図っている。
こうした動きに対し、中国側もガリウム、ゲルマニウム、黒鉛などの重要鉱物の輸出管理を強化しており、報復措置の応酬がサプライチェーンの不確実性を高めている。
片山大臣は会見で、2010年の尖閣諸島沖衝突事件に端を発した「レアアース・ショック」の経験に触れ、代替物質の開発やリサイクル技術、供給源の多様化といった日本の知見をG7各国と共有し、議論に貢献する意向を示した。
また、国内の経済安全保障体制を強化するため、今国会に「外為法(外国為替及び外国貿易法)」の改正案を提出する方針を明らかにした。
改正案では、対内直接投資の審査において、財務省や事業所管省庁に加え、国家安全保障局(NSS)を含む新たな合議体を設置し、インテリジェンス部門とも連携して審査の実行性を高めることが検討されている。これは、海外からの投資を通じた技術流出や、重要インフラへの影響を防ぐ狙いがある。
企業に迫られる「可視化」と対応
政府の動きと並行して、民間企業にもサプライチェーンの再構築が求められている。地政学リスクの高まりを受け、中国依存度の低減や、有事の際に中国製部品なしでも製造を継続できる体制づくりも進められている。 しかし、2次、3次サプライヤーまでを含めた供給網の全体像を把握(可視化)することは容易ではなく、多くの企業にとって喫緊の課題となっている。
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