アジア株式市場は1月5日の年明け取引で総じて堅調に推移し、週末に伝わったアメリカによるベネズエラの指導者マドゥロ逮捕のニュースにも大きく動揺しなかった。日経平均と韓国のKOSPI指数はいずれも急伸し、高値水準を付けた。
米当局によると、マドゥロと妻のシリア・フローレスは逮捕後にニューヨークへ移送され、麻薬テロ共謀および複数の違法武器関連罪で起訴された。起訴状では、麻薬密輸がベネズエラの政治・軍事エリートを富ませ、権力基盤を固める手段になっていたと指摘している。
原油価格は小幅安、供給への影響は限定的
ベネズエラは石油輸出国機構(OPEC)の創設メンバーで、世界最大の確認原油埋蔵量を有するが、今回のアメリカ」の作戦を受けても原油価格はむしろ小幅安となった。
ブレント原油は一時1.2%下落した後、下げ幅を縮小し、直近では0.25%安。WTI原油(テキサス州とニューメキシコ州を中心に産出される原油の総称)も0.4%下落している。
市場では、原油供給への影響は限定的にとどまるとの見方が広がっている。関係者によると、ホセ港やアムアイ製油所など、ベネズエラの主要石油インフラはアメリカの作戦後も被害を受けず、稼働を続けているという。
フィボナッチ・アセット・マネジメント・グローバルの尹正仁最高経営責任者(CEO)はブルームバーグに対し、「事態が持続的な石油危機に発展するとは考えていない。市場心理への影響は一時的なものにとどまるだろう」と語った。
日経平均は防衛・半導体株が牽引
日本と韓国では防衛関連銘柄に買いが集まった。日経225指数は寄り付き直後から上げ幅を広げ、2.85%高の51772.1を付けた。韓国のKOSPI指数も2%を超える上昇となり、4398.54で取引された。台湾の加権指数も2.58%高の30107.95となった。
個別銘柄では、川崎重工業と三菱重工業がそれぞれ5.7%、6.4%上昇。韓国の防衛大手ハンファ・エアロスペースも4%高となった。台湾市場では半導体、電子、ディスプレー関連株が上昇を主導した。
金・ドルも上昇、安全資産への意識は根強く
株式市場が好調な一方で、投資家の間では依然として安全資産を選好する動きも見られる。現物金は約1%上昇し、4371.29ドル、銀も1%高となった。
ドル指数も上昇基調を維持し、5営業日連続で上昇。ソウルのハナ証券のアナリスト、金度運氏は「不確実性が高まる局面では、短期的にドル高が続く可能性がある」と指摘した。
キャピタル・エコノミクスのチーフエコノミスト、ニール・シアリング氏はロイターに対し、今回のアメリカの動きについて「短期的に世界経済へ大きな影響を与える可能性は低い」としつつも、「政治的・地政学的な波紋は今後も広がるだろう」と述べた。
市場の焦点は米経済指標へ
今週、市場の焦点は地政学リスクから、今後発表されるアメリカの主要経済指標へと移りつつある。注目されるのは12月の雇用統計、米労働統計局の求人件数、ISMの製造業・サービス業景況指数などだ。
地政学的な緊張が続く中でも、ウォール街のストラテジスト(戦略を立てる専門家)の多くは2026年の株式市場に対しておおむね強気の見方を示している。ただし、緊張の高まりが、昨年に2017年以来の高いリターンを記録した世界株式市場の底堅さを試すことになるとの警戒感も根強い。
ラウンドヒル・インベストメンツのデーブ・マッザCEOはブルームバーグに対し、「たとえボラティリティ(株価の変動幅を示す指標)が高まっても、株式市場はこうしたニュースをよそに推移する可能性がある。最終的に2026年の相場を左右するのは、金利の動向とアメリカ国内の材料になるだろう」と語った。
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