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高市内閣 成果報告「強く豊かな日本」への道

2025/12/25
更新: 2025/12/25

23日、高市内閣は自民党のウェブサイト上において、これまでの取組みと成果をまとめた報告を発表した。スローガンとして「日本列島を、強く豊かに。」を掲げ、生活に直結する減税策から、日本の将来を見据えた経済・安保戦略まで多岐にわたる成果が強調されている。

1. 生活を支える二大減税策の実現

今回の発表で最も注目されるのは、国民の家計負担を軽減するための具体的な減税措置である。

  • ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止:与野党の合意に基づき、廃止法案が成立した。ガソリン税は2025年12月31日をもって廃止され、軽油引取税も2026年4月1日に廃止される予定である。これにより、1世帯あたり年間約1.2万円の減税効果が見込まれている。
  • 所得税「年収の壁」の見直し:基礎控除および給与所得控除を引き上げ、2026年の年末調整から全ての納税者を対象に控除額を178万円に拡大する。これにより、納税者1人あたり約3万〜6万円の所得税減税が実現する見通しである。

2. 経済成長と危機管理投資の両立

高市内閣は「経済あっての財政」を基本方針とし、積極的な財政出動による経済再生を図っている。

  • 「日本再起」の17分野への先行投資:AI・半導体、核融合エネルギー、量子技術、創薬・先端医療など、戦略的17分野に対して予算を重点配分した。
  • 日本成長戦略会議の創設:経済安全保障の観点から、サプライチェーンの強靭化や地方への成長成果の波及を目指す新たな枠組みの検討に着手している。
仮設住宅を視察する高市総理2(出典:首相官邸ウェブサイト)

3. 防衛力の強化と日米同盟の深化

安全保障面では、防衛費の対GDP比2%達成を前倒しで進め、2025年度中には11兆円程度の予算を措置した。また、対米外交においては、重要鉱物やAI、造船などの幅広い分野で連携を強化し、「米国関税措置への対応」についても、米国の通商政策の変化(関税措置)による日本経済への打撃を防ぎつつ、戦略的な投資や協力関係を通じて日米の経済的な結びつきをより強固にするため「日米戦略的投資イニシアティブ」に必要な措置を講ずるとし、中小企業支援、国内産業への影響緩和に万全を期す姿勢を示している。

2025年10月28日、東京の赤坂迎賓館で行われた署名式の後、記念撮影に臨むドナルド・トランプ米大統領と日本の高市早苗首相。(撮影:Kiyoshi Ota/POOL/AFP、Getty Images)

背景と今後の予測

今回の発表の背景には、長引く物価高騰に対する国民の不満を解消し、同時に地政学的リスクが高まる中で日本の自律的な経済・防衛基盤を確立する必要があったことが挙げられる。特にガソリン税の廃止は、長年の懸案であった「暫定税率」にメスを入れることで、政権の実行力をアピールする狙いがあったと考えられる。

 2026年4月には、軽油引取税の廃止に加え、「環境性能割」の廃止も予定されており、自動車関連の税制負担はさらに軽減される見込みである。また、所得税の控除拡大が2026年末から実施されることで、労働力不足の解消(就業抑制の緩和)と個人消費の刺激が期待される。一方で、17の戦略分野への巨額投資が、実際にどの程度の潜在成長率引き上げにつながるかが、今後の政権評価の鍵となるだろう。

エポックタイムズの速報記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。