12月9日、中国共産党(中共)H-6爆撃機がロシア機と宮古海峡を突破した。日本本土へ北上もJ-16護衛機はミサイル2発のみ搭載で力尽きた。中共中央テレビ(CCTV)が過去の映像を偽装流用したことも露見した。日本防衛省の写真が真相暴く。政治ショーの裏に中共空軍の弱点。
中共のJ-15艦載戦闘機が日本のF-15戦闘機にレーダー照射を行い、日中関係に新たな緊張をもたらしているさなか、12月9日、中共は再び爆撃機を出撃させ、ロシアの爆撃機とともに日本の南西諸島を周回するという、軍事常識から外れた政治色の強い演習を実施した。
中共側は象徴的に2隊のJ-16戦闘機を護衛に派遣したが、第一列島線の縁までしか到達できず、中共戦闘機の航続距離の短さを再び露呈した。さらに問題なのは、中共中央テレビ(CCTV)の映像編集が「つぎはぎ」であることが明らかになった点である。
CCTV偽装映像の証拠:過去流用でミサイル4発搭載を捏造
CCTVが放送する軍事演習映像は、しばしば雑に編集され、虚実が混在していることがある。時に識別が難しい場合もあるが、今回は容易に判別できた。今回の中共軍機の演習については、日本防衛省が直ちに中共戦闘機の写真を公開したため、CCTVの偽装映像が瞬時に露見した。
2025年12月9日夜、CCTVは軍事報道として『中露両軍が第10回共同空中戦略巡航を実施』という映像を放送した。続いて12月10日には軍事報道として『国防部報道官が中露空中戦略巡航に関する質問に回答』という映像を発表した。これら2本の映像で使用されていた戦闘機の離陸・飛行シーンは同一であった。
映像冒頭では、2機の戦闘機が滑走路に向かって進む様子が映し出されており、両翼下にそれぞれ2発ずつ、計4発の空対空ミサイルを搭載していた。これは中国空軍戦闘機が実弾を装備して空戦に備える際の標準的な搭載形態とみられる。今回、中共側は各4機ずつ2隊のJ-16戦闘機をH-6爆撃機の護衛として出動させたため、4発の空対空ミサイルを装備している様子は一見して妥当なものに見えた。

しかし、去年の11月に行われた同様の演習では、J-16戦闘機がH-6爆撃機を護衛して宮古海峡を通過した後、自ら引き返している。当時、日本防衛省が公開した写真には、片翼に2発ずつ、両翼で4発の空対空ミサイルを搭載していたことを明確に示していた。ところが、今回の演習は様子が異なっていた。

しかし、2025年12月9日に日本防衛省が公開した今回の演習写真では、片側の翼に1発の空対空ミサイルしか搭載されていない。つまり両翼で2発のみである。これはCCTV映像で確認できる離陸時の4発とは一致しない。したがって、CCTVの報道は過去映像を流用したものであり、今回の比較で偽装が明らかとなった。
CCTV映像には第2隊の戦闘機の離陸前のシーンも含まれており、アップで撮影されている。その場面では片翼下に2発の防空ミサイル、さらに翼端には3つ目の兵器のような物体が映っており、無人機が搭載するような軽量の対地ミサイルに見えた。CCTV映像によれば、第2隊のJ-16は計6発の兵装を装備していたことになるが、日本防衛省が公表した写真とはさらに大きな齟齬がある。

CCTVは中国空軍の政治的演習を宣伝する意図で偽装映像を使用したが、日本防衛省が公開した写真によって即時に虚偽が明らかになった。過去の演出用映像を雰囲気作りに流用したものの、実際のJ-16は第一列島線を越える際に意図的に兵装を減らしており、その結果、CCTV側が信頼性を損なう結果となった。
J-16戦闘機の航続距離短さ:第一列島線で燃料切れの実態
J-16戦闘機が前回宮古海峡を越えたのは2024年11月であり、当時もH-6爆撃機を護衛していた。その際は輸送給油機「運油-20」が出動し、第一列島線付近で空中給油を行っていた。その様子は日本自衛隊機が鮮明に撮影している。
これにより、中共の主力戦闘機J-16の実際の航続距離が限られていることが明らかになった。中国東部戦区のJ-16は上海、杭州、江蘇省如皋に配備されており、宮古海峡に最も近いのは上海または杭州の基地である。上海から日本・宮古島までは約831キロ。J-16の公称最大航続距離は4千キロ、最大作戦半径は1850キロとされ、上海や杭州を離陸地点とすれば、宮古海峡を越えてさらに1千キロ程度の飛行をして戻ることが可能なはずである。
しかし実際には、J-16は宮古海峡を越えた時点で燃料の限界に達し、帰還を迫られた。H-6爆撃機は単独でさらに遠方へ飛行し、今回も同様の状況であった。つまり、J-16の実際の作戦半径は1千キロ未満、最大航続距離は2千キロ以下の可能性が高い。
12月9日の演習では、J-16は2発の空対空ミサイルのみを搭載していたとみられ、これは積載量を軽くし航続距離をわずかでも延ばすための措置とみられる。
第1隊の4機は宮古海峡を越えたところで燃料の限界に達し、やむなく帰還。H-6爆撃機とロシアの爆撃機は単独で日本本土方面へ飛行し、戻りの際に第2隊のJ-16が宮古海峡近辺で護衛する形を取った。第一列島線の外は爆撃機にとって最も脆弱な空域であるにもかかわらず、同空域での護衛は行われなかった。
今回のJ-16は給油機の支援を受けておらず、安全な帰還のためには通常4発搭載するミサイルを2発に減らすしかなかったとみられる。

CCTVの偽装以上に深刻なのは、中共空軍の実態が再び露呈した点である。主力戦闘機が第一列島線での実戦能力に乏しいことが明確になった。空対空ミサイルを満載できず、まして空対地・対艦ミサイルを搭載すれば第一列島線を越えられない可能性すらある。今回の演習で得られた軍事データは、アメリカや同盟国の分析により、中共空軍の重大な欠点を把握する手がかりになる。
J-16の実際の作戦半径は公表値よりかなり短い。航続距離の制約により、第一列島線付近での制空権確保は困難であり、沖縄の米軍基地や同ライン外の米艦隊への攻撃も難しい。J-16のような重戦闘機ですらこの状況である以上、J-10、J-11、J-15、J-35の作戦半径はさらに短いとみられる。
中共はJ-20を派遣しなかったが、性能の露見を懸念した可能性がある。J-20の航続距離が短く、ステルス性能は不十分であることが確認されれば、さらに不利になるためである。

H-6爆撃機の政治パフォーマンス:日本本土威嚇の軍事常識外れ
中共のH-6爆撃機は最大航続距離7200キロ、作戦行動半径3500キロとし、給油機の支援なしでも宮古海峡を越えて太平洋へ進出し帰還可能である。こうした演習はこれまでにも何度も実施してきたが、護衛の戦闘機はたいてい宮古海峡で引き返し、爆撃機のみが単独で太平洋に進出している。
従来のH-6演習は、できる限り太平洋奥深くに侵入して米軍艦隊を牽制する意図があった。しかし今回は、中共とロシアの爆撃機が宮古海峡を越えた後に北上し、日本本土方面へ向かうという異例のルートを取った。ロシア側は日本海から出発し、日本南西諸島を一周する形で帰還している。
この演習の政治的狙いは明確で、日本への直接的な威嚇を目的としていたとみられる。しかし、軍事演習としての完成度は低く、爆撃機が日本の防空圏沿いに飛ぶことは実戦では自殺行為に等しい。仮に日本本土をミサイル攻撃する意図があるなら、東シナ海から発射すれば十分であり、あえて宮古海峡を抜けて日本本土に接近するのは軍事常識に反している。実質的には政治的パフォーマンスに過ぎない。
中共はこれまでも台湾東部周辺を爆撃機で周回し、花蓮などの軍事基地を想定した訓練を行ってきた。だが、台湾の山脈が障壁となるため、同様の訓練を日本南西諸島で模倣しても戦略的意味は少ない。
日本防衛省が公開した写真によると、H-6爆撃機は兵器を一切搭載せず、空の状態で飛行していた。日本自衛隊機は終始監視していたとみられ、戦闘機の護衛もない中共・ロシアの爆撃機は、容易に撃墜可能な状況であった。
2025年12月9日、中国とロシアの爆撃機が宮古海峡を越えて日本本土へ向かうも、「遼寧」との共同演習は確認されなかった。(日本防衛省/大紀元編集部作図)
爆撃機と空母の不連携
このとき、中共の空母「遼寧」は太平洋で演習を行っていたが、中共の爆撃機は空母との共同訓練を実施せず、別行動を取っていた。
「遼寧」艦載のJ-15戦闘機は満載状態では離艦できず、攻撃力が限定的である。もし爆撃機と連携できれば、一定の補完にはなった可能性がある。爆撃機が東方へ飛行していれば、空母艦隊と合流し、J-15が短距離ながら護衛することも理論上は可能であった。
しかし、中共の爆撃機は「遼寧」の存在を顧みず、日本側戦闘機の監視下に入る形で日本の防空圏内へ単独で侵入した。
12月6日、「遼寧」の艦載J-15が日本のF-15に火器管制レーダーを2度照射し、意図的に緊張を高めた。それからわずか3日後の12月9日、中共のH-6爆撃機が日本本土を標的とした政治的演習を実施し、緊張をさらに増幅させた。しかしこの稚拙な訓練により、中共の空軍・海軍双方の構造的な弱点がより鮮明になった。
中共の爆撃機が実戦で宮古海峡を越えることは想定し難く、空母も同様である。仮に「遼寧」が第一列島線外へ出航したとしても、艦載機の攻撃力は限定的で、戦闘持続力も乏しい。そのため複数の駆逐艦を随伴させざるを得ない。
もし実戦が発生すれば、中共の爆撃機は早期に撃墜され、空母艦隊も短時間で行動不能に陥るか、撃沈または捕獲される可能性が高い。
中共は政治的演習を通じて日本を威嚇しようとしたが、結果として日本側の警戒心を一層高め、戦備強化と日米同盟体制の深化を促す結果となった。
なお、中共の爆撃機は今回の演習で韓国の防空識別圏にも侵入し、韓国軍機が緊急発進して対応した。中共の行動は再び軍事的な欠陥を露呈し、国際政治上でも逆効果となった。

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