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空母「遼寧」含む中共艦隊 沖縄・鹿児島沖航行 艦載機発着艦約100回確認

2025/12/08
更新: 2025/12/08

防衛省統合幕僚監部は令和7年12月7日、中国共産党(中共)海軍の艦艇計4隻が日本の周辺海域で活発な活動を行っていることを確認し、その動向を発表した。

確認されたのは、クズネツォフ級空母「遼寧」、レンハイ級ミサイル駆逐艦(艦番号「101」)、及びルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦2隻(艦番号「117」及び「124」)の計4隻。

これらの艦艇は、12月5日(金)から6日(土)に引き続き、12月7日(日)にかけて、沖縄本島と南大東島(沖縄県)との間の海域を北東に進んだ。その後、12月6日午前7時頃には、喜界島(鹿児島県)の東約190kmの海域を東進していることが確認された。

空母の訓練状況と自衛隊の対応

空母「遼寧」は、艦載機の運用訓練を集中的に実施している。統合幕僚監部によると、12月6日(土)には艦載戦闘機及び艦載ヘリによる発着艦が約50回確認され、さらに翌日の12月7日(日)にも艦載戦闘機等による発着艦が約50回確認された。

この中国海軍艦隊の動向に対し、防衛省・自衛隊は警戒監視・情報収集活動を行った。海上自衛隊は、第6護衛隊所属の護衛艦「てるづき」(横須賀)を展開させた。また、空母の艦載戦闘機の発着艦に対し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進(スクランブル)させる等の対応を取った。

背景

今回の中共海軍の活動は、米国の「2025年国家安全保障戦略(National Security Strategy:NSS)」が、インド太平洋地域を21世紀の主要な経済的および地政学的な競争の舞台と明確に位置づけている国際的な情勢下で発生している。

米国は、インド太平洋を自由で開かれた状態に保ち、全ての重要な航路における航行の自由を維持することを、外交政策の中核的な利益の一つとしている。

米国は、過去数十年間の「中国に市場を開放すれば国際秩序に組み込まれる」という誤った前提が失敗に終わったと認識しており、中国がその富と力を自己の利益のために利用したという評価に基づき、対中戦略を転換している。 

このため、米国は、世界最強の経済力と同盟国との連携を基盤とし、インド太平洋で成功裏に競争を展開し、指導的地位の維持を図っている。具体的には、米国は日本を含む条約同盟国やパートナーと協力し、略奪的な経済慣行に対抗するとともに、インド太平洋の安全保障を確保するために連携を強化している。

今後の予測と国際的な文脈

 今回の中共空母による集中的な運用訓練は、中国が周辺海域における作戦能力の向上と、この地域の軍事バランスへの挑戦を図っていることを示唆するものである。 米国はNSSにおいて、長期的な経済的活力を維持すると同時に、インド太平洋での戦争を防ぐために、強力な抑止力に継続的に焦点を当てる必要があるとしている。この抑止力は、第一列島線のどこであれ侵略を阻止できる軍隊を構築することにかかっている。 したがって、米国は日本を含む同盟国に対し、集団防衛のために遥かに多くの支出と行動をとることを求めている。

NSSは特に、日本と韓国に対し、敵対者を抑止し第一列島線を保護するために必要な能力、特に新しい能力に焦点を当てて、防衛支出を増やすよう強く促さなければならないと明記している。 

また、米国の外交努力は、日本を含む第一列島線の同盟国とパートナーが、米軍の港湾や施設へのアクセスを拡大し、侵略を抑止するための能力に投資するよう促すことに焦点を当てるべきであると述べられている。

今回の中共軍の活発な海軍活動は、日米が重視する「力による平和(Peace Through Strength)」の原則に基づき、日本が防衛力の強化と日米同盟における負担の分担および移行(Burden-Sharing and Burden-Shifting)をさらに履行するよう求められる国際的な圧力が増すことを予測させる。 

さらに、南シナ海のような重要航路の自由が脅かされる可能性は米国の経済に有害であるため、日本を含む全ての被害を受ける可能性のある国々との強力な協力が、航路の自由を維持するために必要とされる。

このため、日本は経済面と安全保障面の両方で、地域安定化のための役割を拡大することが期待される。

大紀元エポックタイムズジャパンの速報記者。主に軍事・防衛、安全保障関係を担当。その他、政治・経済・社会など幅広く執筆。