オーストラリア安全情報局(ASIO)のマイク・バーゲス局長はこのほど、外国勢力によるスパイ活動や越境弾圧について警告を発した。バーゲス局長は、少なくとも3つの外国政府がオーストラリア国内で反体制派の暗殺を企てていると指摘し、中国共産党(中共)政権はオーストラリアの安全保障機関にとって常に注視すべき主要な対象であると強調した。
11月4日夜、シドニー市庁舎で行われたローウィ研究所の2025年度会議でバーゲス局長は演説を行った。局長は「現在の国家安全保障環境はかつてないほどの挑戦に直面しており、越境弾圧の標的とされているオーストラリア人は過去最多となっている」と率直に語った。
バーゲス局長は、少なくとも3つの外国政府がオーストラリア国内で反体制派の暗殺を計画していたことを確認したと述べたが、具体的な国名は明らかにしなかった。
なぜ中共を名指ししなかったのかと質問されると、バーゲス氏は次のように答えた。「私が今日の演説で中国について話していないと、どうして分かるのか? 私が名指ししなかった国々も、自分たちのことを言われていると分かっているはずだ」
さらにバーゲス氏は、中共が何度も働きかけて、オーストラリア安全情報局による中共の干渉行為の暴露を阻止しようとしてきたことを明らかにした。
バーゲス氏の警告が出された直後、中共がオーストラリア国内で行っている越境弾圧の新たな事例が、各メディアによって次々と報じられている。
法輪功学習者の董南希(とう・なんき)氏は、オーストラリアで中共の迫害に抗議している自身の写真が、中国本土にいる家族への脅迫材料として中共に利用されたと訴えた。中共による越境弾圧の手口は非常に悪質なものだと警告している。
董氏によると、写真の画質は非常に鮮明で、おそらくキャンベラの中共大使館関係者が撮影した可能性が高いとのことだ。
董氏は、中国本土にいる家族が中共の法輪功迫害機関「610弁公室」の職員に呼び出され、抗議活動の写真を見せられたと話している。その中には、中共大使館前で抗議する様子も含まれており、中共の職員は「海外での抗議活動をやめさせるよう」家族に迫ったという。
3年前、董氏は花祭りのイベント期間中に、一般市民へ法輪功への迫害の実態を伝えていた際、暴行を受けた。主犯の趙康(チャオ・カン)を出国しようとしたシドニー空港で警察が逮捕した。2023年3月、趙は法廷で罪を認め、3千豪ドル(約30万円)の罰金を科せられた。
現在、オーストラリア情報機関が外国勢力の干渉を取り締まり強化する中、オーストラリア法輪大法協会は政府に対し、中共政権による現地住民への脅迫行為を直視し「越境弾圧」への包括的な調査を実施するよう呼びかけている。
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